こんにちは、バンコク在住のぴっぴです。
今回はタイのディープスポット、バンコク最大のヒンドゥー寺院ワット・ケーク(Wat Khaek)をご紹介します。
え!
バンコクにヒンドゥー寺院があるの?
うん。本場インドの雰囲気を堪能できる神秘的な世界だったよ。
詳しく紹介するね。
前半で「参拝前の予備知識」も紹介していますが、必要のない方は「参拝手順」までスキップしちゃってくださいね。
ワット・ケーク(Wat Khaek)とは?
バンコク最大のヒンドゥー寺院
ワット・ケーク(Wat Khaek)はタイ最大のもっとも古いヒンドゥー寺院です。
ここで祀っているのは、ヒンドゥー教のシヴァ神の妻パールヴァティーという女神。
ワットケークというのは通称で、寺院の正式名称は英語表記だとSri Maha Mariamman Temple(スリ・マハー・マリアンマン・テンプル)といいます。
ワット・ケークは、シーロム通りに土地を所有していたインド人たちによって1879年頃に建てられたと書いてありました。
彼らは南インド出身のタミル人で、宝石商としてバンコクへ移り住んでいたのだそうです。
南インドのヒンドゥー寺院に見られるという極彩色の塔門は見事で、独特な雰囲気を醸し出しています。
すごい色彩!
なんだか迫力があるね~!
門の高さは6メートルくらいあるんだって。
行き方
ワット・ケークはビジネス街のシーロム通り沿いにあります。
このあたりには多くの異教徒が移り住んでいて、異国情緒溢れるエリアです。
行き方は、BTSチョンノンシー駅かBTSスラサック駅から徒歩10分ほど。
あるいはMRTシーロム駅かBTSサラデーン駅から77番のバスに乗るか、タクシーに乗って5分ほどで着きます。
異彩を放っているからすぐに分かるね。
寺院周辺もお供え物の屋台とかで賑わっているよ。
ワット・ケーク(Wat Khaek)の基本情報
住所 | 2 Pan Rd, Khwaeng Silom, Khet Bang Rak, Krung Thep Maha Nakhon 10500, Thailand |
拝観時間 | 午前6時~20時 (曜日により若干異なるらしい) |
拝観料 | 見学は無料 |
参拝前にヒンドゥー教をざっくり予習
参拝前に、ヒンドゥー教について少しだけ予習しておきましょう。
うん!
知識は少しでもあったほうが良いもんね。
ヒンドゥー教のルーツはバラモン教
ヒンドゥー教のルーツは、古代インドで信仰されていたバラモン教です。
- 古代インドを支配したアーリア人による宗教
- アーリア人を優遇するカースト制度がある
しかしバラモン教はアーリア人を優遇しすぎたので、その他の民族(下層カースト)の人々から反感をかいました。
そこで「仏教」や「ジャイナ教」がバラモン教から独立していったのです。
仏教のルーツも実は「バラモン教」
バラモン教のカースト制を批判したブッダが開いた宗教が仏教だったんです。
あれ?
似たような話を聞いたことがあるような…
ユダヤ教の選民思想を批判したイエスが新しくキリスト教を開いた話とよく似ているよね。
(その話について、詳しくはこちらの記事にて▼▼)
日本に伝わる仏教も、もともとはインドのバラモン教をルーツとしてるってことか!
仏教に登場する神様も、インド神話がもとになったものがけっこうあるみたいだよ。
「輪廻転生」の概念
仏教にもヒンドゥー教にもベースの概念として、「死んであの世に帰った魂がこの世に何度でも生まれ変わる」という「輪廻転生」があります。
良い行いをすれば良い身分に生まれ変わり、悪い行いをすると悪い身分に生まれ変わるってやつだね。
この輪廻転生の概念も実はバラモン教からきています。
「死んで生まれ変わる」という輪廻転生のループから抜け出すことを「解脱」といい、仏教でもヒンドゥー教でもそれが目指す目標になります。
ヒンドゥー教として生まれ変わったバラモン教
バラモン教自体も土着の様々な宗教を取り入れながら、ヒンドゥー教として広く大衆に浸透していきました。
ヒンドゥー教はとにかく神様が多い「多神教」ですが、とくに有名なのはこちらのお三方です。
ヒンドゥー教の三大神である、この世界を創造したブラフマー、世界を維持するビシュヌ、世界の破壊と再生をするシヴァ。
髪が長いから一見女性とおもいきや、3人とも男性神なんだね。
3人のなかでもっとも人気があるのがヴィシュヌとシヴァ。
ブラフマーの人気があまりない理由のひとつに、「世界の創造」はすでに過去の栄光になってしまったからだと言われています。
シヴァはいつも移動手段として牛を使っていたために、インドでは牛が神聖な生き物とされています。
私もインドに行ったとき、町の至る所や駅のホームにまで牛さんがいてビックリしました(笑)。
ちなみにシヴァ神はかなりやんちゃな性格。
ブラフマー神と喧嘩をしたとき、元々5個あったブラフマーの頭を切り落としたんだそうです。
わぉ!やんちゃ!
だからブラフマーの頭は4つしかないよ。
シヴァとパールヴァティの息子が「ガネーシャ」
シヴァにはたくさんの奥さんがいましたが、その正妻がパールヴァティです。
シヴァの最初の妻サティという女性がいたが、彼女が焼身自殺をしてしまい、彼女の肉片から生まれたのがパールヴァティ。
パールバティはサティの生まれ変わりということか!
そしてシヴァとパールヴァティの息子が、かの有名なガネーシャなのです。
ガネーシャって、あの象の神様だよね!
ガネーシャの姿はとても特徴的。
太鼓腹の人間のからだ、4本の腕、そして片方の牙が折れた象の頭をもっています。
彼は現世利益をもたらす「富の神様」として、インドで絶大な人気があります。
でも、なんで頭だけが象なの?
その理由はいくつかの説があるんだけど、もっとも有名な神話を紹介するね。
シヴァが外出中、パールバティは入浴をしていた。彼女は体のアカを集めて人形を作り、命を吹き込んで息子を創った(=ガネーシャ)。
母は息子に、自分が浴室しているあいだの見張りを命じた。シヴァが帰ってくると、ガネーシャはそれを父とは知らず、入室を拒んだ。シヴァは激怒し、ガネーシャの首を切り落として遠くへ投げ捨ててしまった。
後にそれが自分の子供だと知ったシヴァは、投げ捨てたガネーシャの頭を探しに旅に出かけるも、見つけられず…。
そこで旅で出会った象の首を切り落として持ち帰り、ガネーシャの頭としてくっつけて復活させた。
(参考:wikipedia)
インド神話って、知れば知るほど興味深いですね…(笑)。
ヒンドゥー教に「聖典」はあるの?
「ヴェーダ」と呼ばれる本が聖典で、4種類に分かれているよ。
ほかにも「マハーバーラタ」や「ラーマーヤナ」とかの神話集も聖典として大事にされてるんだ。
タイでは仏教とヒンドゥー教が共存する
ここまでお話してきたように、ヒンドゥー教も仏教もルーツは同じバラモン教。
私が住んでいるタイは仏教国ですが、タイ文化自体がインドの影響を大きく受けてきたこともあり、ヒンドゥー教と仏教は溶け込みあって共存しています。
タイの街を歩くと、仏教だけでなくヒンドゥーの神々を祀っている祠もたくさん見かけます。
ブラフマー神を祀るエラワン廟
たとえば、バンコク最大のパワースポットとして有名なエラワン廟というヒンドゥー寺院では、ブラフマー神が祀られています。
この寺院にはインド人だけでなく多くのタイ人が毎日訪れてお祈りをしています。
ヒンドゥー教と仏教は兄弟みたいな関係なんだね。
日本でも仏教と神道が共存しているから、それと同じような感じなのかなぁ…
タイの国章はインド神話に登場するガルーダ
ほかにも、タイでは様々なところでヒンドゥー教の影響を垣間見れます。
たとえばタイの国章は、インド神話に登場するガルーダという神鳥です。
このガルーダは、ヒンドゥー教においてビシュヌ神の聖なる乗り物として知られています。
ヒンドゥー教においても仏教においても聖なる神鳥とされているんだね。
ヴィシュヌ神の化身のひとつがブッダ?
ヒンドゥー教は仏教を吸収していくなかで、「仏教はヒンドゥー教の1宗派」として扱うようになっていきました。
ヒンドゥー教においては、仏教の開祖であるブッダが「ビシュヌ神の化身のひとつ」という解釈があるようです。
ビシュヌ神はいろんな化身を使い分けて地上に現れるとされています。
仏教もヒンドゥー教も互いに影響し合いながら、タイではうまく共存しているみたいだね。
実際に参拝してみよう(参拝手順)
それでは予習ができたところで、参拝してみましょう。
寺院内での写真や動画撮影は禁止です。
また露出の多い服装は避けましょう。
靴を脱いで中にはいる
寺院への入口は「シーロム通り沿い」と「脇路地」と2か所あります。
極彩色の塔門をくぐったら、靴を脱いで中に入ります。
寺院のなかに足を踏み入れた瞬間、お線香の香りが充満して神聖な祈りの曲が聞こえます。
いきなり別世界だね。
参拝者はインド人もいましたが、ほとんどがタイ人でした。
みな信仰深く祈りを捧げています。
仏教徒の参拝者もかなり多い印象です。
お供え物を買う
入館は無料ですが、参拝をする場合はお供えセットの購入が必要です。
お供えセットは「60バーツ」と「80バーツ」の2種類があります。
私はお供え物の販売ブースで、60バーツのお供えセットを買いました。
お供えセットのトレーの上には、ココナッツ、水、バナナ、線香、ロウソク、お花などがのっています。
お供えセットと一緒に、シヴァ神のカードももらいました。
綺麗なカード…
カードにどの神様が描かれているかは人によって違うそう。
お守りになるみたいなので、お財布に入れとこうかな。
お祈り・線香とロウソクをたてる
銀色のテーブルがあるので、そこにお供えものを置きます。
線香とロウソクに火をともし、膝をついてお祈りをします。
バラモン僧侶に残りのお供えセットを渡す
寺院の奥にはバラモン僧侶が祈祷してくれる場所があるので、お供え物の残りをもってそこに進みます。
僧侶の方?が「こっちに来なさい」と手招きしてくれたので、その指示に従って奥に進みました。
祈祷してくれる場所までの短い通路には、ヒンドゥーの神々の像が並んでいます。
一番奥まで進むと、そこでしばらく待つように言われました。
モクモクと白い煙が充満したなかに、上半身裸のバラモン僧侶が出現!
す、すごい…。
神聖な空間すぎてなんか緊張してきた…!
私が先頭だったようで、振り返ると後ろにどんどん列ができています。
待っているうちに、ずっしり重いお供えセットをもった腕がピクピクしてきました。やばい、落としそう…!
しばらくしたら僧侶がお供えものを私の手から受け取り、奥の部屋に消えていきました。
落とす前に間に合ってよかったね(笑)。
僧侶がお供え物のなかから選んだものを受け取る
「お供え物を渡したら終わり」ではありません。
奥の部屋から戻ってきたバラモン僧侶が、お供え物のなかから一つ選んだものを渡してくれます。
私は寺院の名前が入ったミネラルウォーターでした。
周囲を見渡すと、みんなミネラルウォーターを受け取っていました。
なぜミネラルウォーターを返されたのか困惑していると、近くにいたタイ人女性が「飲んでいいのよ」と教えてくれました。
返されたものはラッキーアイテムとして、持ち帰って食べたり飲んだり飾ったりすれば良いみたいです。
おでこにティカをつけてもらう
ミネラルウォーターを私に返してくれた若いバラモン僧侶が、「What’s your name?(名前は?)」と尋ねてきました。
唐突の質問でどぎまぎしながら「ぴ、ぴっぴです!」と答えると、「ぴっぴか」と言って指で私のおでこにティカという赤色の印をつけてくれました。
ヒンドゥー教における祈りのための神聖な印。神様に祈りを捧げるとき赤い印を額につける。
ヒンドゥー教において「額」は人間の中枢で聖なる部分だと考えられているそう。
付けてもらったティカはこんな感じ。
怪しげなサングラススタンプで失礼します(笑)。
なぜか2カ所も付けてくれました。
そういうものなのかな?それともミス?笑
ご存じの方はぜひ教えてください。
すごい!インドの人みたい~!
人生で初めてティカをつけてもらったので、すごく嬉しかったです!
参拝が終わると、祈祷場所の付近に座っていたバラモン僧侶らしき男性が、私の手首に赤い紐を結ぼうとしてきました。
とっさに「売りつけられるのか!?」と警戒して値段を聞くと、「100バーツ」とのこと。
私は「いらないです」と断りました。
私は興味がなく断ってしまったのですが、この赤い紐は「切れるまで手首につけておくと幸運が訪れる紐」のようです。
興味がある方は「幸運の紐」を買ってみても良いかもしれないですね。
トレーを返す
最後のお供えセットのトレーを返却して、参拝は終わりです。
ティカをとるタイミングが分からず、結局額に赤い印をつけたまま帰宅しました(笑)。
ヒンドゥー寺院の参拝、興味深い体験がたくさんできたね!
まとめ
バンコク最大のヒンドゥー寺院であるワット・ケークは、ヒンドゥー教ならではの神秘的な参拝を体験できるディープスポットです。
写真撮影が禁止のため内部の様子はほとんどお見せできませんでしたが、ここがタイだというのを忘れるくらいの異世界で驚きました。
インドを訪れたとき体験した本場インドの摩訶不思議な雰囲気を思い出しました。
バンコクに住むヒンドゥー教徒たちの心の拠り所になっているんだね。
気になった方はぜひ訪れて、ヒンドゥー教の世界観に浸ってみてくださいね。