こんにちは、バンコク在住のぴっぴです。
今回は旅行者にもタイ在住者にもおすすめしたい、「バンコク国立博物館」をご紹介します。
1000点以上ある展示品はどれも見ごたえ抜群で、まるっとタイの歴史や文化を学ぶことができる貴重な場所です。
すべてをまわるなら最低2時間はみておいた方がいいでしょう。
先日訪れてとても楽しく勉強になったので、タイ文化や歴史に興味がある方にはめちゃくちゃおすすめです!
館内の様子や展示の内容など詳しくシェアします。
どんな博物館なんだろう~!
バンコク国立博物館とは?
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「バンコク国立博物館」って有名な場所なの?
うん。
タイ国立博物館の「本館」で、タイで最大規模の博物館だよ。
保管されている展示品の数は1,000点超。
先史時代から現代に至るまで、タイの歴史を伝える品々が時代とジャンルごとに展示されています。
- 1782年、ラーマ1世により副王の宮殿として建てられた
- 1874年、ラーマ5世により博物館として一般公開
(副王制度が廃止されたことによる) - 1887年、現在の場所へと移設
- 1933年、国立博物館として会館
博物館は1782年にラーマ5世の時代に王宮内に建てられましたが、1887年に現在の場所へと移設されました。
もともとは副王のための宮殿でしたが、ラーマ5世の時代に副王制度が廃止となり、博物館として利用されることになったんです。
行き方
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バンコク国立博物館があるのは王宮などがある旧市街エリア。
王宮前広場のすぐ目の前にあり、「ワット・プラケオ」からは徒歩10分ほどです。
タマサート大学もすぐそばです。
住所 | 4 Na Phrathat Rd., Phra Borommaharachawang, Phra Nakhorn, Bangkok 10200 |
---|---|
電話番号 | 02-224-1333 |
営業時間 | 9:00~16:00(入場15:30まで) |
休業日 | 月曜日・火曜日・タイの祝日 |
入場料 | 200バーツ |
駐車場 | 有 |
アクセス | ・BTS「ナショナルスタジアム駅」から車で約20分 ・MRT「サナーム・チャイ駅」から徒歩約20分 ・チャン船着場から徒歩約13分 ・ワット・プラケオから徒歩約10分 |
チケット購入
入り口を入って左手にある窓口でチケットを購入します。
外国人の入場料は200バーツ(タイ人は40バーツ)。
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パンフレットは英語かタイ語。
私は斜めかけバッグだったので何も言われませんでしたが、大きな荷物は持ち込み不可で受付のロッカーに預けることになるそうです。
撮影不可の場所はありませんが、フラッシュと動画撮影は禁止です。
従来あった日本語ガイドツアー(無料)は2021年5月現在休止中です。
再開時期については日本語ガイドのFacebookページでご確認ください。
建物詳細
それでは一緒に内部を探検していきましょう。
新歴史館
新歴史館では、太古から現代にいたるまでのタイの歴史を知ることができます。
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館内には数多くの展示品があり、各時代の歩みがパネルや美術品により紹介されています。
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博物館の改装当時の様子をおさめたパネルがありました。
上の2枚が改装中、下の2枚が改装後の写真です。
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先史時代に関する展示
人類が今のタイの国土に住み始めたのは旧石器時代からだそうです。
昔、タイ東北部のウドンタニー地方で東南アジア固有の文明が誕生しました。
このときすでに稲作文化を持っていたことが知られていますが、これらの文明を築いたのはタイ族ではありません。
こちらは東南アジア独自の古代文明として世界遺産にも登録されている、ウドンタニー地方のバンチェン遺跡から出土した人骨です。
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こちらは5000年前の磨製石器だそう。
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バンチェン遺跡、初めて知ったけど行ってみたいなぁ。
こちらは別の場所で発見されたもので、1~2世紀頃のローマ人を描いた美術品(左)と、1~3世紀頃の象を描いた石(右)。
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古代国家に関する展示(タイ族国家ではない)
タイ族の国家が生まれるまで、モン族の国「ドラバラディ」、マレー人の国「シュリービジャヤ」、クメール人の国「クメール」などの古代国家がありました。
- モン族の国「ドラバラディ」▶7~11世紀
- マレー人の国「シュリーヴィジャヤ」▶タイ南部 7~13世紀
- クメール人の国「クメール」▶9~13世紀
etc…
モン族の国家「ドラバラディ」は、チャオプラヤー川下流域を中心に高度な文明を築いていたそう。
彼らは独自の文字をもち、上座部仏教を信仰していました。
彼らの末裔であるモン族は、現在もタイのノンタブリーで暮らしているそうです。
こちらはドラバラディ時代の南インドのパッラバ文字が書かれた石です。
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同じくドラバラディ時代の銅板に刻まれた、古代インドのサンスクリット文字。
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インド文字からインドの影響をかなり受けているのが分かるね。
ドラバラディ時代のコイン。
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9~11世紀のドラバラディ時代の、仏陀が彫られた美術品。
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ドラバラディ王朝の繁栄と時を同じくして、タイ南部ではマレー人の国「シュリーヴィジャヤ国」が、インドネシアを中心に興っていました。
シュリービジャヤは海上交易を行い、大乗仏教を信仰する国でした。
こちらは9世紀のシュリーヴィジャヤ時代の美術品で、奉納石版にブッダが彫られています。
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9世紀にはいると、カンボジアのアンコールを首都としたクメール帝国(アンコール朝)がタイ東北部や東部を支配しました。
13世紀初めにはタイ全土を支配していたようです。
当時影響を受けたクメール美術、言語、宗教などの文化的影響は、今のタイに色濃く残っているようです。
ほかにも様々な美術品が展示されていました。
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ちなみにタイ族のルーツについては諸説あり、有力なのは以下のようです。
- もともとタイ族は中国南部の山岳地帯に住む少数民族だった
- チンギスハン率いるモンゴル帝国が北から攻めてきたので、タイ族は南下して現在のタイの地に移り住んだ
- 他の民族と混ざり合いながらタイのルーツを築いていった
中国南部から南下をし続けたタイ族は、11世紀頃に現在のタイの地にたどりついたとされています。
タイ族国家に関する展示
タイ族の国家はいつできたの?
タイ族の初めての統一国家は、13世紀に成立したスコータイ王朝だよ。
勢力を拡大したタイ族はクメール人を追い出し、13世紀にタイ族による最初の王朝「スコータイ王朝」を確立しました。
こちらは14世紀頃のスコータイ王朝の時代の碑文です。
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これってもしかしてタイ文字?
そう。
スコータイ王朝3代目のラムカムヘーン王によって、タイ人のアイデンティティでもあるタイ文字が生み出されたんだって。
スコータイ王朝3代目国王。
- タイ文字の発案
- スリランカから伝わった上座部仏教を国教として制定
- 交易の自由を認める
など、現在のタイの礎を築いた。
ラムカムヘーン王ってすごい人だったんだね。
彼は「タイの3大国王」のひとりで、タイ国民には「国家の父」として今でも崇拝されているんだって。
タイの3大国王は次の3人です。
- スコータイ王朝のラムカムヘーン王
- アユタヤ王朝のナレースワン王
- チャクリー王朝のチュラロンコン王(ラーマ5世)
(※本記事で3人全員の功績を紹介します)
ラームカムヘーンの時代にスコータイ王朝は最盛期をむかえ、現在のラオスやシンガポールを含む巨大王国に発展しました。
- スコータイ王朝▶13~15世紀
- アユタヤ王朝▶14~18世紀
- トンブリー王朝▶15年間
- チャクリー(ラタナコーシン王朝)▶18世紀~現在
その後はアユタヤ王朝、トンブリー王朝、そして現在まで続くチャクリー王朝(ラタナコーシン王朝)と続きます。
チャクリー王朝のラーマ1世が1782年につくった都が、現在の首都バンコクです。
そうか、今はチャクリー王朝なんだね。
ちなみにタイ3大国王のひとり、チャクリー王朝5代目のラーマ5世について少しだけ紹介させてください。
近代タイの産みの親。
- 官僚制度を導入
- 軍隊を近代化
- 議会を設置
- 鉄道や道路を整備
- 学校教育を確立
- 王政の強化・地方自治の強化
- 奴隷解放
ラーマ5世はタイ植民地化の回避をして独立を守った立役者として讃えられ、タイの歴史を支えた3大国王のひとりになっています。
ブッダ礼拝堂
新歴史館の右側にあるのがブッダ礼拝堂です。
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礼拝堂のなかには「プラプッタシヒン」という仏像が安置されています。
壁と天井には「仏陀の一生」についての壁画がぐるりと描かれていて、圧巻の美しさのようです。
私が訪れたときは中に入れなかったので、次回はぜひ見てみたいです。
中央宮殿
ブッダ礼拝堂のすぐうしろにある博物館で一番大きな建物が、中央宮殿です。
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ここにはタイの高価な美術品や王室ゆかりの伝統工芸品など、貴重な品々が展示されています。
実際に王族が住んでいた住居を見学することができるんだね!
入ってすぐのところは大きな講堂になっています。
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講堂を奥へ進んでいくと、いくつもの部屋に分かれています。
それぞれの部屋に展示物があり、部屋同士は通路で繋がっています。
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ヨーロッパ建築のような雰囲気だね。
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中央には中庭があります。
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こちらは「乗りもの」に関する展示室です。
歴代の王が使われた御輿や、象に乗るための鞍が展示されています。
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真珠と象牙で装飾された鞍で、チャクリー王朝の19世紀のものです。
センターには2匹のドラゴン。
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鞍はこんなふうに象の上に乗せて使うんだね。
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こちらは王室で使われていた、金装飾が眩しい家財の数々です。
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ラーマ5世の治世で使用された玉座です。
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彫刻や金箔で装飾された木で作られています。
西洋の影響を大きく受けていることがうかがえますね。
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ラーマ1世の時代につくられたパビリオン。
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こちらは王室専用寺院の扉。
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なんと美しく繊細な彫刻でしょうか…
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こちらはタイの古典楽器。
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伝統的なタイ舞踊や人形劇に関する展示品です。
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興味がある方はこちらの動画(タイ舞踊や人形劇)を見てみてください。
素敵だねぇ~!
私も生で見たことはないので、タイにいるあいだに体験したいですね。
王族の衣装の展示も。
こちらのガウンは、王室の儀式で着用されていたようです。
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スパンコール・銀糸・金糸などで刺繍が施されています。
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食器の展示室では、陶器やベンジャロン焼きなどのの食器や壷が展示されています。
「ベンジャロン焼き」はもともと中国から伝わったもので、アユタヤ時代に王族や貴族のあいだで人気になったそうです。
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時代とともに一般市民にも高級食器として浸透していったんだね。
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貝殻や漆を用いた美しい工芸品もあります。
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こちらは日本美術の影響も受けているようです。
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昔隣国との争いで使った槍や大砲などの武器。
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タイの民族衣装なんかもありました。
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王家の葬儀に関する展示室
ブッダ礼拝堂の右奥にある白い建物が、「王家の葬儀に関する展示室」です。
そ、葬儀?
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ここにはタイ王室関係の葬儀で実際に使われる品々が保管されています。
おぉ、大きな山車が何台もある…
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こちらは2017年10月にプミポン前国王(ラーマ9世)の葬儀で実際に使用された山車です。
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本物なの!?
すごい!
この山車はラーマ1世の時代から、修復を繰り返して使われているそうです。
豪華絢爛な彫刻が施された木造で、黄金色に光り輝いています。
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王宮から火葬殿まで棺を山車にのせて運ぶようで、その棺もありました。
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見てください、この精巧な彫刻を…。
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美しすぎて眩しいね…
この場所は保管庫も兼ねているそうで、巨大な山車の出し入れが出来るように専用の大きな扉も設置されているそうです。
赤い館
新歴史館の右側を通り過ぎてまっすぐ進むと、左手に真っ赤な建物が現れます。
この建物は見た目のとおり「赤い館」と呼ばれています。
18世紀後期にラーマ1世が妹のために建設したものです。
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屋根の先っぽは跳ね上がっていて、窓枠に細かい装飾があります。
建物はチーク材でできています。
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内部も赤色で統一されていました。
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もともとは高床式の建物だったのが、土台の脚を切って現在の高さになっているそうです。
特別展
バンコク国立博物館では、定期的にさまざまなジャンルの特別展が開催されています。
私が訪問したときは「アユタヤ特別展」でした。
タイ族初の王朝スコータイを滅ぼしたアユタヤ王朝。
世界が大航海時代を迎えた15~17世紀に、アユタヤも東西交易の中継地として発展し繁栄をきわめました。
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ポルトガルやオランダ、フランスなどと海上貿易が盛んにおこなわれる国際都市となり、日本人町も生まれていたそうです。
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14世紀~15世紀頃、アユタヤ初期の仏像。
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こちらも15世紀頃の仏像。
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インドの影響を受けた、16世紀のブラフマー像。
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実はアユタヤ王朝は、途中で一度滅びかけて復活しているんです。
え!そうなの?
東南アジアで最大勢力となったアユタヤでしたが、16世紀半ばにビルマに攻撃され、15年間ビルマの属国だった時期があったのです。
そのアユタヤを再び復活させた救世主が、アユタヤー王朝の王子ナレースワンでした。
- タイの三大王のひとり
- アユタヤ王朝21代王
- 子どもの頃に6年間ビルマ軍の人質となった
- タイへ戻ってからビルマ軍の弱体化をみて攻撃し、アユタヤ王朝を復活させた
- ムエタイの生みの親
この時期を転換点として、アユタヤーの誕生から復活前までを「前期アユタヤ」、復活後を「後期アユタヤ」と呼ぶそうです。
ナーレスワンもタイ族の国を復活させた偉大な功績者として、タイ3大王のひとりになっています。
1767年にビルマが侵攻して陥落するまで、アユタヤ王朝は続いたんだね。
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面白い特別展が定期開催されているようなので、ご自身が行く時にはどんな特別展が開催されているのかぜひチェックしてみてくださいね♪
まとめ
先史時代から現代にいたるまでのタイの歴史や文化を学べる「バンコク国立博物館」は、旅行者もタイ在住者も楽しめるのでおすすめです。
私もじっくり2時間見学しましたが見飽きることがなく、どの展示も興味深くて正直時間が足りませんでした。
今回改装中だったり周りきれなかったところがあるので、時期をみて再訪したいです。
状況が落ち着いたら、日本語ガイドも再開するかもしれないしね。
気になった方はぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。