こんにちは、世界一周経験があるぴっぴです。
突然ですがこちらの写真の場所、一体どこだと思いますか?
正解は、アフリカの内陸国「ルワンダ」。
危険、汚い、貧しい、後進国…
そんな私たちが抱くアフリカのイメージを覆す国なのです。
え、アフリカの国なの!?
すごく綺麗…
ルワンダって名前初めて聞いたよ。
2017年にルワンダに2週間滞在しました。
私にとって強い思い入れのある大好きな国です。
私は現地を訪れるまでルワンダのことをほとんど知らなかったのですが、到着して驚きました。
治安が良くて、綺麗で、人が優しくて…
1994年に起こった「大虐殺」という悲劇を乗りこえ、急速に発展しているルワンダは、「アフリカの奇跡」と呼ばれています。
(ルワンダ虐殺について詳しく知りたい方はこちらから▼▼)
ルワンダが先進的な国と言われる驚きのポイントを紹介します。
どんな国なのか気になる!
- ルワンダの基本情報
- ルワンダ大虐殺の悲劇
- 虐殺からの復興
- アフリカの先進国へ「先進的ポイント4つ」
ルワンダってどんな国?
ルワンダは中部アフリカの小さな内陸国
正式名称「ルワンダ共和国」は、アフリカ大陸中央に位置する小さな内陸国です。
国土は四国の1.5倍くらい。
西にコンゴ民主共和国、北にウガンダ、東にタンザニア、南にブルンジと国境を接しています。
- 首都▶キガリ
- 民族▶フツ,ツチ,トゥワ
- 言語▶ルワンダ語、英語、フランス語、スワヒリ語
- 宗教▶キリスト教、イスラム教
- 政体▶共和制
- 主要産業▶農業(コーヒー・茶など)
参照元:外務省「ルワンダ基礎データ」
ルワンダは標高1500m以上の高地にあり、1年を通じて気温は20~30度でとても涼しく過ごしやすいです。
羽織ものが1枚あると便利でした。
ルワンダにはたくさんの丘が存在するため、「千の丘の国」とも呼ばれています。
治安は非常に良好で、発展途上国ではなかなか考えられない夜のお散歩もすることができました。
わぁ、すごく綺麗な景観だね~!
1994年の悲劇「ルワンダ大虐殺」
ルワンダを語る上でどうしても避けられないのは、1994年に起こった「ルワンダ大虐殺(ジェノサイド)」です。
ある人種・民族を、計画的に絶滅させようとすること。
集団殺害。集団殺戮。
引用元:コトバンク
多数派のフツ族(85%)が少数派のツチ族(15%)を虐殺するという惨劇が起きたのです。
えっ…1994年ってかなり最近のことだよね。
ルワンダ虐殺については別記事で詳しく解説しますが、ざっくりと学べる動画がありましたのでシェアします。
(※一部過激な描写もありますのでご注意ください)
たった3カ月のあいだに、多くのツチ族やフツ族の穏健派が殺されました。
犠牲者の数は約50万人〜100万人と推定され、ルワンダ全国民の10%〜20%にあたります。
私も現地でいろんな話を見聞きしましたが、心がギュッと締め付けられる思いでした。
いっぽう虐殺に加担した加害者の数も35万人に及ぶとされています。
ルワンダは「被害者と加害者が共存」せざるを得ない国なのです。
大虐殺によりルワンダは壊滅的な打撃を受け、国力は大きく低下してしまいました。
虐殺後の急速な発展
ところが。
その後ルワンダは奇跡の復興を遂げて、いま世界中を驚かせているんです。
え!そうなの!?
— セキ ヤスヒサ🌒 (@Campaign_Otaku) April 8, 2019
日本では虐殺のイメージが強いルワンダ。
しかし行ってみると街は綺麗で、ご飯は美味しくて、治安は良くて、皆ヘルメットを被ってバイクに乗ってて、野犬はいなくて、お洒落なお店やクレジットカードが使えるお店、フリーWi-Fiのあるお店も多くて、その上みんな優しい。
行ってみないと分からない。 pic.twitter.com/HcJxR2mR7w
— リーマントラベラー / 東松寛文 (@ryman_traveler) January 7, 2018
正直なところ、アフリカは「治安が悪い」「人が怖い」「謎の病気」というイメージがあって最初は怖かった。
けど、ルワンダは街がキレイで人は優しいし、涼しくて過ごしやすいし、ファッションも建物もカラフルで可愛いし、気をつければ安全。
百聞は一見にしかず(๑╹ω╹๑ )🇷🇼#ルワンダで遊びたい pic.twitter.com/ODyaykicKk
— ほなみん (@honamin_____) November 22, 2018
私も世界一周中に、アフリカに入ったあたりから「ルワンダという国はすごい」という噂を聞いて凄く気になっていたんです。
大虐殺による悲惨な状況から、一体どのような変貌を遂げたのか。
生まれ変わったルワンダの先進的なポイントを4つご紹介します。
私たち日本人が学べることもたくさんです。
ルワンダの先進的ポイント4選
1、街が綺麗▶目指すのはアフリカのシンガポール
一つめは驚くべき「街の綺麗さ」です。
私はウガンダという国からルワンダにきたのですが、ルワンダに入った瞬間にインフラが整備され道が綺麗になったので驚きました。
ルワンダの首都、キガリ。
キガリの街を歩くとその綺麗さに驚かされます。
すごい!
なんかアフリカのイメージと違うー!
ルワンダ人はきっちりヘルメットをかぶり、交通ルールをしっかり守っていたのも印象的でした。
舗装された道路にはゴミひとつなく、植栽もよく手入れされています。
私が訪れた新興国ではたいていゴミが散乱していたので驚きました。
ルワンダ政府は「アフリカのシンガポールになろう」という方針を掲げて、インフラ整備や環境向上などに力を入れているんです。
その成果もあり、実際にルワンダの街はとても美しい状態が保たれています。
シンガポールのように観光産業を盛り上げていくためにも、「街が綺麗」なことは重要ですよね。
国で決められた清掃の日「ウムガンダ」
ルワンダには国で決められた清掃の日、「ウムガンダ」があります。
「ウムガンダ」は毎月最終土曜日に行われる地域奉仕活動で、18〜60歳は基本的に参加義務があります。
ウムガンダは、1962年にベルギーから独立した際、「国民一人一人が国家に貢献するために」と始まった取り組みだったが、時代とともにその目的も変化している。ツチ族・フツ族による民族紛争に端を発し、1994年に発生したジェノサイド「ルワンダ虐殺」以降、このウムガンダを通して荒廃した地域社会の復興と団結の促進を目的の一つとして実施されている。
引用元:JICA web
「町の清掃活動」など、その地域に今必要なことをみんなで協力して行っています。
ウムガンダの日はお店は閉まりバスなど公共交通機関もストップし、街は静まり返ります。
ルワンダは、毎月最終土曜日午前、清掃の日ウムガンダがある。奉仕活動に行かない人も、この日の午前中は家にいるため、静かな朝。 pic.twitter.com/VEnOMXWAGN
— ルナ🌺愛媛住み旅好き (@natsu_luna_) March 28, 2020
参加しない場合は罰金が課されることもあるそうです。
徹底してるねー!
【ウムガンダ参加】
18歳から65歳までのルワンダ中の住民に参加義務があるウムガンダ目的は94年の大虐殺からのコミュニティ再生
「義務=嫌嫌やる」ってイメージだったけど、みんな楽しそうにやり甲斐を感じながら作業してる様子が印象的だった。
今月は草刈り&ミーティング pic.twitter.com/5okq8CPsqI
— Kotaro Yoneta (@yone_tagayashi) February 25, 2019
街が綺麗になるだけでなく、ウムガンダにより地域コミュニティの一体感も生まれます。
コミュニティ再生で少しずつ平和を再構築しているんですね。
2、世界でもっとも女性の社会進出が進んでいる
2つ目は「世界でもっとも女性の社会進出が進んでいる」ということ。
世界経済フォーラムが2019年12月に発表した「ジェンダー・ギャップ指数(GGI)」をご覧ください。
GGI(=Gender Gap Index)。
世界経済フォーラムが毎年発表している、経済・教育・保健・政治分野の男女平等度を表す指数のこと。
ルワンダは世界153ヵ国中なんと9位で、多くの先進国を抑えて上位にランクインしています。
ちなみに我が国日本は121位。
ルワンダすごいね!
ちなみにルワンダは2016年は5位、2017年は4位、2018年は6位とずっと上位に君臨しています。
女性の国会議員の割合は世界一
さらにルワンダの女性国会議員の割合は世界一で、なんと61%以上を占めているんです。
え!男性よりも多いってこと!?
ルワンダは2003年以来ずっと、世界で最も女性国会議員の比率が高い国となっています。
直近2019年1月に発表された「女性議員の割合の国別ランキング」では堂々の第1位です。
その他にこのようなデータもあります。
- 閣僚の半数以上が女性
- 下院の約6割が女性
- 7人の最高裁判事のうち4人が女性
Rwanda is the 1st country to have a female majority in parliament https://t.co/zrdf9cnsOJ #LeastNotLast #ipoareview pic.twitter.com/umXkrzrFn1
— United Nations (@UN) May 24, 2016
女性躍進の背景には複雑な事情「ジェノサイドの爪痕」
でも、なんでルワンダではこんなに女性の社会進出が進んでるの?
ジェノサイドが残した深い爪痕が関わってるんだ。
ルワンダ大虐殺が終わったとき、生き残った人々の大半は女性でした。
多くの男性の働き手を失ったルワンダは、必要に迫られて女性の社会進出が急速に進んでいったのです。
私が現地でお会いしたルワンダ人女性も、旦那さんを虐殺で亡くされていました。
その変化に応じて、女性に配慮した政策制定や法改正も推し進められました。
たとえば2003年のクウォーター制の導入です。
これにより議席の3割以上を女性とすることが定められました。
女性議員の比率、なんと191カ国中156位と東京新聞。1位のルワンダは63・8%。内戦をきっかけにクオータ制を導入。日本の比率はわずか9・5%だ。政党別では共産28・6%、自公8・6%。一定比率を女性に割り当てるクオータ制が望ましい pic.twitter.com/oSxcTZiu7l
— shizu (@millesgarden8) April 9, 2016
クォータ制を導入後の初選挙では、国会議員に占める女性の割合がそれまでの25.7%から48.8%まで上昇したのです。
そのほか、「遺言なしでも女性の相続権が認められる」「教育面の待遇が改善され大学進学できる女性が増える」など、さまざまな分野で改善がはかられました。
法律や憲法で強制力をもたせて改革をおこなったんだね。
3、徹底的な環境保護の取り組み
3つ目の先進的なポイントは、「環境保護の先駆国であること」です。
たとえばルワンダでは「脱・プラスチック」が進んでいます。
Rwanda is the world’s most plastic-free country. pic.twitter.com/YYNS6Or64O
— Publicity Africa (@pub_africa) May 20, 2019
実はルワンダではゴミ問題の対策のために、2008年からビニール袋の輸入・製造・使用・販売を法律で禁止しているんです。
2008年って、そんな前から?
かなり厳格なルールで、この規則を破った業者には罰金や投獄が課せられることもあるみたい。
外国人がビニール袋をルワンダに持ち込むことも、もちろん禁止です。
実際私がルワンダに入国したときは、国境でビニール袋を没収されました。
アフリカ最後の国、ルワンダの首都キガリに到着。
— たい吉@海外バックパッカー (@tai_ki_chi) September 13, 2019
スーパーで買い物をしたときは、こんな紙袋や布袋に入れてくれます。
爆買いした時の買物袋。
ぜーんぶ紙袋。
ビニール袋は一切なし。
汚れ防止にバナナリーフ敷いてます。#ルワンダ(本当にエコな人はマイバッグ使ってます。スミマセン忘れました) pic.twitter.com/dggN590rbh
— からとちさ@ルワンダ🇷🇼 子育てとアジアンキッチン (@chisakarato) February 21, 2020
「ビニール袋禁止令」の実態について、私が現地でお世話になったルワンダ在住の竹田さんの動画が参考になります。
ビニール袋を禁止する理由として、以下のような理由を挙げられています。
- 海洋生物を守るため
- 土壌が覆われ雨水が浸透できず、洪水がおこるのを防ぐため
- 作物の成長の妨げになるのを防ぐため
ものすごく環境に配慮した政策なんだね。
実はアフリカは「脱・プラスチック」先進大陸
こちらは補足になりますが、実はアフリカ全土で「脱・プラスチック」の動きが進んでいます。
アフリカ大陸の54カ国中なんと30カ国がプラスチック袋の規制を導入しているのです。
アフリカでそこまで「エコ政策」が浸透していたなんてびっくり!
This is how a Africa leads the way banning single use plastic. 37 countries have made regulations to stop plastic waste.
Rwanda 🇷🇼, Kenya 🇰🇪 and Tanzania 🇹🇿 among the leaders. Well done, Africa!— Erik Solheim (@ErikSolheim) August 22, 2019
アフリカでは人口増加などによるゴミ問題が深刻化したため、各国が積極的な対策を行いプラスチック規制を行うようになったのです。
現在、世界全体で2030年までに達成しようというSDGsの持続可能な開発目標では「脱・プラスチック」も提唱されています。
こうした動きの中で、ルワンダをはじめとするアフリカ諸国から私たちが学べることも多そうですね。
4、IT立国を目指し積極的に挑戦し続けている
4つ目は、「IT立国を目指し積極的な挑戦」をしていることです。
ルワンダは石油や天然ガスなどの地下資源に恵まれず、輸送においても不利な内陸国です。
また国土のほとんどが斜面の多い丘陵地帯で大規模な耕作には向かず、観光資源も乏しい。
そこでルワンダはこれらを逆手に取り、将来的に成長し続けられるよう「ICT立国」を国家戦略に位置付けたのです。
ICT(Information and Communication Technology)
=情報通信技術のこと。
ルワンダは今、「海外企業のIT系企業の誘致」や「スタートアップ育成」を積極的に行っています。
まさに「アフリカのシンガポール」だし、面白いマーケティングだね。
【ルワンダの主なITサービス】
・Tap & Go:ルワンダ版Suica
・vuba vuba:ルワンダ版Uber Eats
・H Mart:商品配送
・YEGO CABS:電話配車
・MOVE:ルワンダ版Uber
・Mara Phone:アフリカ初国産スマホ
・Mobile Money:携帯電話送金
・zipline:ドローン血液輸送
・Charis UAS:ルワンダ発ドローン https://t.co/5Tdf5KcZRn pic.twitter.com/SBbtJ2IDZG— タケダノリヒロ🇷🇼ルワンダから一時帰国中 (@NoReHero) May 23, 2020
日本が新札のニュースで盛り上がっているので、ルワンダのお札のお話を。
ルワンダの500RWF札は、通貨としては大変珍しく「国策」が描かれています。
One Laptop Per Childという、幼少期からパソコンに触れさせることで、ジェノサイドを乗り越えIT国になるという、強い意志が表れているのです。 pic.twitter.com/4vj6syTNKS
— アフリカ系男子ナイケル(内藤獅友) (@Naikel0311) April 8, 2019
2016年にアメリカからルワンダに進出したスタートアップ企業、Zipline(ジップライン)社。
同社の「ドローンで血液や医薬品を空輸」するドローン革命は、世界から注目を集めています。
「アフリカの奇跡」
ルワンダの命を救う“ドローン革命”とは…
(news23 2019年8月28日放送)#ドローン #アフリカ #ルワンダ #血液空輸 #drone #leapfrog #news23 #tbs #TBSNEWS pic.twitter.com/Y7bfFqQEpP— TBS NEWS (@tbs_news) September 16, 2019
また、アフリカ初の国産スマホがルワンダから登場しました。
Designed | Made in Africa and for African needs. pic.twitter.com/Lth7hj66ra
— Serial Tweeper🕷 (@serialTweeper) March 23, 2019
— Amb Williams Nkurunziza (@NkurunzizaW) August 16, 2019
2019年に発表された世界銀行の「投資環境ランキング」では、ルワンダは世界191か国中29位、アフリカ第2位という上位にランクイン。
投資先としても世界から注目される国なんですね。
私がルワンダで出会ったイギリス人女性は、「自分のITスキルをルワンダで活かし貢献したくてやってきた」と話していました。
現時点では「IT立国」と呼べるほどの水準まで達していないようですが、これからの発展がとても楽しみです。
まとめ
ルワンダは「大虐殺」という悲劇を乗りこえて驚きの復興と成長を遂げている、アフリカの小さな内陸国です。
かつての「後進国アフリカ」のイメージを見事に覆し、先進的な取り組みがたくさん行われています。
環境保護や女性の社会進出、IT分野の挑戦など、私たち日本人が学べることも多いのではないでしょうか。
こんなすごい国だったなんて正直びっくりしたよ。
日本も見習って挑戦していきたいね。
本記事ではお話していないルワンダの魅力はまだまだ沢山あるので、気になった方はぜひ調べてみてくださいね♪
参考:「ルワンダ大虐殺」について学べる映画
「ルワンダ虐殺」の概要についてもっと知りたいという方には、映画が分かりやすくておすすめです。