こんにちは、世界一周経験者のぴっぴです。
2016年~2017年の世界一周で最も印象に残っていること。
それが、現在もカンボジアで地雷撤去処理の第一線で活躍されている高山良二さんとの出会いでした。
前編では、高山さんの活動に同行するなかで見聞きした地雷処理活動の様子などについてお伝えしました。
(前編をお読みになってない方はこちらからどうぞ▼)
高山さんが繰り返しおっしゃっていたこと。
それは「支援とは本質を見据えたものでなければいけない」ということでした。
本質を見据えた支援?
支援の本質って一体なに?
なぜ本質を見極めることが必要なのだろうか?
この後編では、井戸建設や学校建設といった支援活動について焦点をあてつつ、本質的な支援について皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
- 井戸建設現場に視察
- 建設した学校へ訪問
- 誘致した日本企業の工場見学
- カンボジアの結婚式に参加
- 日本語学校の先生を体験
- 支援の本質とはなにか?
日本人は本質を見失っている
高山さんの人生の師匠は「坂本龍馬」
タサエン村滞在中は、高山さんが暮らしているIMCCDの宿舎に泊まらせていただきました。
宿舎には高山さんの専属通訳であるソックミエンさんご家族も住んでいます。
朝も夜も、みんなで和気藹々と食事を頂きます。
高山さんの部屋には、高山さんが人生の師匠と尊敬している坂本龍馬の写真が飾られていました。
困難が立ちはだかったとき、何度も龍馬に救われたのだそうです。
わざとパソコンの前に座りこみ、高山さんに相手してもらおうとする猫ちゃんが可愛い。
高山さんがお抹茶を立ててくれました!
久々すぎるお抹茶、美味しすぎるー!
ありがとうございます~!
高山さんのカンボジアでの暮らしや日々の支援活動についてなど、いろんなことを教えてくださいました。
高山さんのチャーミングで面白い一面もたくさん垣間見ることができました。
本質を見抜くって、どういうこと?
高山さんが何度もおっしゃっていた印象的な言葉があります。
大切なのは、本質を見抜くことだよ
本質を見抜く?
高山さんは長年日本を離れてみて「多くの日本人が本質を見失っている」ということに気付いたと言います。
最初その話をしてもらったとき、私にはそれがどういう意味なのかピンときていませんでした。
「ヒントを得るためにオススメの本があるよ」と本をいくつか紹介してくださいました。
特におすすめなのが、こちらの本だそう。
敗戦後の日本の歴史をしっかりと学ぶことが大切だ。
第二次世界大戦以降、日本は良くない方向に進みはじめてしまったんだ。
あのとき我々が何を失ってしまったのかを知り、本質とは何か改めて考えることが必要なんだよ。
そして高山さんはカンボジアでの支援活動においても、本質を見極めることを常に考えられています。
活動に同行するなかで、高山さんの言う「本質的な支援」についての意味を、私自身も少しずつ理解していくことになるのです。
井戸建設の要望があった村の視察に同行
高山さんの活動は地雷撤去処理のみならず、多岐に渡ります。
- 日本語学校運営
- インフラ整備
- 学校建設
- 井戸建設
- 地場産業の育成
- 日本企業の誘致支援
- 留学生支援
- 現地の見学者受け入れ
すごい!
本当に色んなことをされてるんだね。
ある日、以前から井戸建設の要望があったという地域の視察へ同行させてもらうことになりました。
「本当にそこに井戸建設が必要なのか」を実際に高山さんが見て確かめるということです。
地域を管轄する副郡長らと共に、現場へ向かいました。
出発前の打ち合わせの電話。
会話はクメール語になるので、ソックミエンさんに通訳をしてもらいます。
こちらの男性は、高山さんが絶大な信頼をおいているタサエンの村人です。
村の復興で大事なことは、まず、キーパーソンとなる優秀な人材を見つけること。
と高山さん。
タサエン村の中心部からおよそ2時間。
現地に近づくにつれ舗装されていないデコボコ道になり、その先にたどり着いたのは奥地にある貧しい村でした。
現場を知り、どんなニーズがあるか自分で確かめる
副郡長によると、この村には150の家族が暮らしているとのことです。
現地を一目見て高山さんは「ここは井戸建設が必要である」と判断し、要望に対してOKを出しました。
村の人たちに声をかけ、皆で記念撮影。
現場視察は10分ほどで終了しました。
なんてスピーディーな決断!!
現場を知ることがこそが本質を見極める上で重要だよ。
本質を見極めることができさえすれば、重要な案件でもスピーディーかつ着実に遂行できるんだ。
と高山さん。
実際に現場に行って現地の人とコミュニケーションをとりながら、本当にニーズがあるのか自分で確かめることが大切だといいます。
支援者と同じ目線に立ち、報告を欠かさない
井戸建設の費用は日本の支援者からの寄付により賄われています。
高山さんは言いました。
大事なのは、支援者と同じ目線に立つこと。
支援金をもらうだけもらって「あとは丸投げ」では意味がない。
「支援金はこの地域の井戸掘りに使わせてもらった」「今はこのように人々の生活に役立っている」とか、その後の様子もしっかり報告をすることが大事だよ。
高山さんは支援者に報告をするため、常にカメラを持ち歩き記録をつけていました。
そうか…支援金の使い道やその後の報告を欠かさないことも、本質的な支援に繋がるんだね。
高山さんが運営しているIMCCD(国際地雷処理・地域復興支援の会)のホームページでは、随時このように寄贈報告がなされています。
これだけしっかり報告がもらえたら、支援者の方も喜ぶよね!
村の結婚式に参加
タサエンの村人から「ター(おじいさん)」と慕われ愛されている高山さんは、村の結婚式にもたくさん呼ばれます。
カレンダーにつけてあるピンクの丸は、ぜーんぶ参加を予定している村人の結婚式!
毎月数回は結婚式の招待があるそうです。
すごいたくさんあるー!!!
なんと私も結婚式に参加させてもらうことになりました。
なんたる貴重な機会…
結婚式会場に到着すると、ものすごい人!人!人!
ざっと200~300人くらいはいるでしょう。
新郎新婦、そのご両親と記念撮影。
皆様おめでとうございます!!
かんぱーい!!ヽ(^o^)丿
ご馳走が次から次へと出てきます。
どれも美味しくて、遠慮なくいただく私(笑)。
牛肉の炒め物のような料理がおいしくてモグモグしていたら…
なにやらゾッとするものを見つけてしまったのです。
私「た、高山さん…これってもしかして…」
高山さん「あぁ、蟻だね」
私「…………\(゜ロ\)(/ロ゜)/!!」
さすがにそのお料理は食べれませんでした(笑)
蟻も普通に食べているんだね!
何名かの村人の方とお話させてもらいました(とは言ってもクメール語が話せないので挨拶程度ですが…)。
みなさん本当に礼儀正しくて、それでいてとってもフレンドリー。
新郎新婦のお父さん同士が手を繋いで登場!
みんなで花びらを振りかけます。
なんだか微笑ましいね♪
新郎新婦のお2人が登場。
美男美女~♡
みんなの前で愛を誓い合った2人。
そこでなんと、みかんを分けて両家で食べ合うという儀式が。
新郎新婦もみかんを食べ合います。
面白い儀式だねー!!
結婚式の後半に始まるダンスタイム!
クラブミュージックのようなアップテンポな曲がかかり、みんなノリノリです。
新郎新婦はロマンチックなダンスを披露。
リクエストがあり、高山さんもステージに上がり歌を熱唱。
少年、笑顔がいいね!!(*´ω`*)
カンボジア式の結婚式を知れて、とっても貴重な体験となりました。
村人の結婚式に参加することは、村の一員として彼らとコミュニケーションをとるという意味でも大事なことなんだね。
誘致した日本企業の工場見学
高山さんは現地の雇用を創出するために、日本企業の誘致支援もされています。
高山さんが誘致した日本企業の工場を見学させてもらいました。
この工場では水引の製造などを行っているそう。
みなさん一生懸命作業されています。
小さなお子さんもちらほら見かけます。
子供の面倒を見ながら働いているお母さんも多いそうです。
工場のなかでお会いした写真右の女性は、とっても流暢な日本語を話します。
彼女は幼少期に高山さんに「あなたの夢は何ですか?」と尋ねられたとき、「何もありません」と答えたそう。
しかし高山さんとの出会いが彼女の人生を変えました。
今では日本語も堪能で、職場でも重要なポストに就いているそうです。
高山さんのもとで、着実に人材が育っているんだね!
高山さんが建てた学校を訪問
高山さんは学校建設もしています。
この日は高山さんが建設した学校を訪問しました。
学校に到着するなり驚きました。
私たちが到着した瞬間に、靴をそろえゴミを拾いはじめたではありませんか。
高山さんはこの学校を建てるとき、「ゴミを拾う、靴を揃える」という習慣を子供達に徹底することを村人たちと約束したそうです。
高山さんは言いました。
支援の本質はハードではない。
ソフトな部分を育てることだ。
建物を建てて支援を終了してしまうのは、ハードの側面しか見えていない。
本質を見失った中途半端な支援があまりにも多すぎる。
「人を育てる」というソフトな部分に目を向けることが本質的な支援になるんだ。
「援助をする側もだが、援助を受ける側にも責任がある」と考える高山さん。
支援を当たり前として享受させるのではなく、靴を揃えたりゴミを拾ったりというソフトな部分を徹底させているのです。
そうか…支援の本質は「教育」とか「人を育てる」といったソフトな部分なんだ!
高山さんが生徒2人に「TAKAYAMA」という文字を見せ、「読めるか?」と尋ねました。
すると二人とも、正しく「タカヤマ」と答えました。
2年前に同じ質問をしたときは答えられなかったそう。
子供たちの成長が素晴らしいです。
着実に子どもたちのソフトな部分が育っているね!
学校の敷地内には、高山さんが建設した井戸がありました。
高山さんは実際に水を飲み、水質チェックをしました。
「うん、飲めるね!」
井戸だってつくりっぱなしではだめだ。
支援者は責任を持って、長期的に管理や調査をし続けなくてはいけないよ。
中途半端では意味がないんだ。
生徒たちの笑顔は輝いていました。
みんなでピース!
日本語学校の先生を体験
ある日高山さんがいきなり、「今日は日本語学校の先生を体験してもらうよ」とおっしゃったんです。
ぴっぴが先生!?
私に先生なんて務まるのかと正直不安でしたが、「こんな貴重な機会なかなかない!やってみたい」と思いました。
先生体験をさせてもらったのは、宿舎の隣にある高山さんが運営する日本語学校です。
ここでもみんな、綺麗に靴をそろえています。
「失礼します!」と礼儀正しくお辞儀をして教室に入ってくる様子には驚きました。
私たちが教室に入ると、元気な声で「こんにちは!」と日本語の挨拶をしてくれました。
すごいねー!
みんなキラキラ笑顔で、いい表情をしています。
教師経験なんてもちろん皆無の私。
高山さんは「すべて任せる、好きなようにしていい」とおっしゃっていたけど、なんの授業をしようかな…
思い付いたのは、「自己紹介」「好き・嫌い」「体の部分の名称」「天気」でした。
「たいよう」「くもり」「あめ」「かみなり」など、天気に関する言葉をイラストを交えながら教えます。
私「これ分かる人ー!?」
生徒たち「はいはーい!!!」
みんな素直で可愛い~!
勉強熱心な姿にぴっぴ先生は感動だよー!!
私が適当に書いたこちらのイラストで、体の名称についての言葉も教えます。
「はな」「くち」「め」など…。
みんながとっているノートをのぞいてみると…
私のへたっぴなイラストを丁寧に書き写してくれていて、本当に申し訳ないきもちになりました(笑)。
子どもたちの方が上手だよ…(笑)
翌日教室に行くと、みんな「体の部分の名称」を完璧に覚えてくれていて、本当に感動しました!
すっごく優秀!
可愛いみんなが大好きよー
みんなで記念撮影。
学校生活をめいっぱい楽しんでね♡
この日たまたまとある先生の誕生日をお祝いしていたので、私もちゃっかり混ぜてもらいました。
みんなケーキを顔に塗りあって、凄まじいことになってる!
私も顔にケーキを塗ってもらいました(笑)。
お祝いに混ぜてもらって嬉しい!
先生体験、とっても貴重で楽しい時間になりました。
タサエン村滞在の最終日の夜
そんなこんなであっという間に時が過ぎ、ついに迎えたタサエン村滞在の最終日の夜。
私のために宿舎で焼肉パーティーを開いてくださいました。
あぁ感謝…!
とってもおいしいくいただきました。
皆さまありがとうございます!!涙
タサエン村出発の朝は、高山さんがわざわざお見送りに来てくださいました。
バスの窓から外を覗くと、高山さんやタサエン村の人たちの最高の笑顔!!
高山さん、なにか果物を手にもってるし!笑
高山さん、タサエン村のみなさん!
本当にお世話になりました~!
またきっと帰ってきます!!!
みなさんに感謝感謝だね…♪
こうして私のタサエン村で過ごした3日間は終わりました。
高山さんから教えてもらったこと
たった3日間という短い間でしたが、学ばせてもらったことは山ほどあります。
私にとって1番の学びは「物事の本質を見抜く重要性」に気付いたことでした。
高山さんが何度も言ってたことだね。
高山さんの言葉の意味を、3日間の同行を通じて私なりに理解することができました。
本質って実は、とってもシンプルなものなんだと思います。
固定観念や今ある既成事実、すべてをとっぱらって、一歩引いた目で物事を見つめた時に浮かび上がってくるもの…。
戦争をなくしたい。だからこそ…
たとえば「戦争をこの世からなくしたい」と思う。
しかし人間は基本的に欲深い生き物であるため、前提として戦争は無くなりません。
ひとりひとりが現実的な行動をしないで「世界平和」を願うだけでは、いつまでたっても平和はきません。
私たちはまず、その現実を直視する必要があります。
でも人間だからこそ出来ることもある。
それは「知恵を出し合い工夫すること」です。
少しでも戦争が起こるリスクを減らすために、現実的に何ができるのかを考え工夫していく。
本質を見据え、できることを着実に積み重ねていけば必ず結果が伴うということを、高山さんの活動を見ていて感じました。
支援を「エゴ」でしてはいけない
支援も同じこと。
支援とは自分のエゴでするものでは決してありません。
現地を知り、現地の人と同じ目線に立ち、問題を突き止めてニーズを探り、長期的にソフトな部分を育てていくことが本質なのです。
支援するもの・支援されるもの、双方がそれぞれの責任を果たすこと。
応援してくれる人にはしっかりと状況報告を欠かさないこと。
内戦という厳しい環境にさらされた地域で、戦後処理をやりながら平和の尊さを訴え続け、「どうしたら戦争や紛争のない社会が構築できるか」という現実的な平和構築の種まきを世界に広げていきたいと思っています。
引用元:IMCCD「ごあいさつ」
高山さんの「平和構築の種まき」はすでに芽を出し始めています。
自立復興に向けて、タサエン村は着実に歩みを進めているんだね。
厳しくも愛情に満ちた高山さんの周りは、村の人たちの温かい笑顔で溢れていました。
当時高山さんから教えてもらったことは、4年経った今も確実に私の中に生き続けています。
タイにいるうちに一度はタサエン村を再訪し、高山さんや村の皆さんに再会できればいいなと思っています。
そのときには成長した姿を見てもらえたらいいね♪
村人たちの輝く笑顔が眩しい素敵な場所タサエン村、また必ず戻ります♡