こんにちは。
世界一周経験者のぴっぴです。
今回取り上げるのは、中東イスラエルにある3宗教の聖地「エルサレム」。
- エルサレムは3つの宗教の聖地
- 歴史や宗教の問題が原因で争いがたくさん起きているらしい…
そんなことを学校の授業で教わったりニュースで聞いたりしたことがある人も多いと思います。
エルサレムが複雑な場所だというのは何となくわかるんだけど、その背景の問題がいまひとつ理解できてないんだよね…
私たち日本人にとって自分たちに馴染みのない宗教を理解することは簡単じゃないよね。
私も難しいなって思う。
しかし世界に視野を広げたとき、宗教の理解なくして国際ニュースを理解し現代社会を読み解くことはできません。
宗教理解を深めることで私たちは価値観の多様性を尊重し、また日本人としてのアイデンティティを自覚することもできるでしょう。
世界を知るためには宗教を知らなきゃいけないってことだね。
私は2016年にイスラエルとパレスチナ自治区を訪れました。
現地のリアルを肌で感じ見聞きできたことはとても強烈な体験でした。
「宗教とはなにか」、「信仰とはなにか」、「正義とはなにか」、「平和とはなにか」。
そんなことを考えさせられると同時に、改めて自分の無知さを痛感したのです。
もっと世界を知らなければいけない!という強い思いが芽生えるきっかけにもなり、心から訪れてよかったと思っています。
今回の「エルサレム編」では自身の体験をシェアしながら、次のような内容をお伝えします。
- エルサレムの基礎情報
- エルサレムに3宗教の聖地が集まる理由
- それぞれの聖地の見所・雰囲気
- ユダヤ教徒「超正統派」の人々が暮らす街
- ホロコースト記念館の様子
エルサレム編とあわせてぜひテルアビブ編とパレスチナ編も読んでみてください。
テルアビブ編▼
パレスチナ編▼
それでは一緒にエルサレムを旅して宗教や歴史についての理解を深めていきましょう。
エルサレムの基礎情報
イスラエルの首都「エルサレム」は3宗教の聖地
エルサレムはユダヤ教・キリスト教・イスラム教の3宗教の聖地であるという独特の個性を持った場所です。
「エルサレムの旧市街とその城壁群」はユネスコの世界遺産にも登録されています。
聖地エルサレムの領有権をめぐる争い
いっぽう聖地エルサレムは宗教的・歴史的な背景から、その領有権を巡って何度も争いが起こってきました。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれが「エルサレムは私たちの聖地だ!」と主張しているのです。
対立する宗教の聖地が同じ場所に集まっているから、争いが起きてるんだね…。
3宗教の聖地がエルサレムに集まっている理由
そもそも何でエルサレムに宗教の聖地が3つも集まってるの?
元をたどればユダヤ教からキリスト教とイスラム教が派生しているからだよ。
ユダヤ教➡キリスト教➡イスラム教の順番
まず最初に生まれたのはユダヤ教です。
そのあとキリスト教、イスラム教の順に派生していきました。
え!3宗教ともルーツが同じってこと?
ユダヤ教が生まれたのは紀元前1,280年頃で、聖典は旧約聖書です。
ユダヤ教には「ユダヤは神から選ばれた唯一の民族である」という選民思想がありました。
つまり「神はユダヤ人のみを救ってくれる」という宗教なのです。
それから1,000年以上経った紀元前1世紀頃。
ユダヤ人のイエスはユダヤ教(選民思想)を批判し、
“人間はみな平等、他の民族にも受け入れられるべきだ”
とユダヤ教をもっと柔軟にしたキリスト教を説きました。
多くの人に受け入れられたイエスの教え(キリスト教)はどんどん広がっていきます。
そうか…イエス・キリストは異端児だったんだね。
「イエスの布教活動」をよく思わなかったのはユダヤ人。
恨みをかったイエスは、十字架に磔にされ処刑されてしまいます。
イエスの死後、「イエスこそが救世主だ」と弟子たちにより新約聖書が作られました。
「新約聖書」はイエスが死んだあとに作られたものだったんだね。
そこからさらに時が経ち、時代は7世紀。
610年頃にイスラム教が成立したとされています。
- 【ユダヤ教】➡神がユダヤ人に神の言葉を伝えたのに守らなかった。
- 【キリスト教】➡神は代わりにイエスに言葉を伝えたのに、人々はイエスのことを神と拝み始めた。人間は神の前では皆平等なはずなのにおかしい。
- 【イスラム教】➡神はムハンマドにお告げをし、ムハンマドが神の言葉として布教した。
イスラム教こそが「ユダヤ教とキリスト教」を完全な形にした最終形だという解釈です。
イスラム教の聖典は、旧約聖書・新約聖書・コーランの3つです。
ということは、3つの宗教はすべて聖典に「旧約聖書」があるってことだね。
3宗教の共通点
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教には、たくさんの共通点があります。
こちらの比較表をご覧ください。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は全て「一神教」です。
一神教とは、「この世の中を作ったのは神」であり、唯一絶対の神が存在しているという考え方です。
つまりこの3宗教では、神の呼び方は異なるものの、同じ神様を信仰しているということになります。
唯一神を信じているから「同じ神様」ってことになるんだね。
聖地・聖典・聖人なども共通点が多いです。
このようなことから、エルサレムに3宗教の聖地が集まっているのは当然の流れと言えます。
この3宗教の対立は、解釈の違いによるものとも言えそうですね…
聖地エルサレムについてざっくりお話させてもらいました。
それではさっそくエルサレムの中に入っていきましょう。
遂にエルサレムへ。
ドキドキするな~!
エルサレムの街の様子
テルアビブからエルサレムへ
イスラエルの政治・経済の中心地「テルアビブ」からエルサレムへはバスで移動しました。
私はテルアビブの「Tel Aviv Central Bus Station」というバスステーションからエルサレムに向かいました。
テルアビブ行きのバスは405番です。
バスにのって約1時間後、エルサレムへ到着です。
エルサレム新市街はヨーロッパのようにお洒落
エルサレムの新市街は想像以上に整備されていてとても綺麗です。
トラムの路線が街中に張りめぐらされていて、移動がとても便利。
お洒落なカフェやレストランが建ち並び、雰囲気は完全にヨーロッパです。
わぁ、お洒落ー!
イメージと違った!
体感治安もとても良いです。
『キッパ』というユダヤ人の男性がかぶる小さな帽子のお店がたくさんあります。
色とりどりで可愛いです。
みんなピンで上手にとめて頭にかぶせています。
Tomorrow, Wednesday, is the national Kippa wearing day in The Netherlands https://t.co/ydyfgQPh4F @TimesofIsrael @Jerusalem_Post @ynetnews pic.twitter.com/cO089ZeexA
— Joop Soesan 🇮🇱🇳🇱 (@JoopSoesan) May 28, 2019
ユダヤ教徒「超正統派」の人々
エルサレム新市街に住んでいる人のほとんどがイスラエル人です。
テルアビブで見た光景との違いの1つに、「超正統派」のユダヤ人を見かける頻度が高くなりました。
「超正統派」ってなに?
「超正統派」は、聖書の律法を厳格に守ろうとする人たちのことだよ。
ユダヤ教徒は世俗派・伝統派・宗教派・超正統派に大きく分類されます。
- 世俗派…ユダヤ教の規定をほとんど守らない
- 伝統派…規定の一部を習慣や文化として受け継いでいる
- 宗教派…規定を一定程度守ると同時に、社会や政治にも関わる
- 超正統派…規定を厳格に守り、そのために自らを隔離して生活する
超正統派の人々は「ユダヤ教の教義を学ぶこと」が最優先と考えており、近代的な教育に否定的です。
超正統派の男性は働かず、ユダヤ教の聖書(トーラー)をひたすら勉強します。
彼らの多くは国から生活費の補助を受けて生計を立てているようです。
国におさめる税や社会保障負担も減免されています。
超正統派への公費支出に不満を抱くユダヤ教徒も多いようです。
超正統派の男性は、黒いスーツを着て、黒い帽子を被り、もみあげを伸ばします。
超正統派の女性も、「ひじ・ひざ・鎖骨の露出、派手な色や模様、ボディーラインのでる服の着用は禁止」など厳しいルールがあります。
彼らは生涯をユダヤ教の経典の勉強にささげることをよしとしているため、イスラエルが建国されてからずっと、国は彼らの兵役を免除してきました。
しかしその他の国民の不満が高まり、2017年に超正統派の男性にも兵役が課されることに。
ただ今もなお、徴兵制に従わず拒否している超正統派は多いようです。
ユダヤ教のなかでも宗派によっていろんな軋轢があるんだね。
おすすめ安宿
イスラエルは物価が高いです。
宿代を節約したい人におすすめなのが「The post hostel Jerusalem」という安宿。
安くて居心地も抜群の「神宿」です。
広々としたドミトリー(相部屋)は清潔で快適。
ビュッフェ式の朝食は種類豊富でとても美味しく、毎朝の楽しみでした。
町で見かける女性兵士たち
エルサレムでは、よく女性兵士を見かけました。
イスラエルでは、「イスラエル国籍を持つユダヤ人」には高校卒業後、兵役の義務が課されます。
男子に対しては3年、女子に対しては約1年半です。
イスラエルでは、一部の特例を除き、ほぼすべての市民と永住権を持つ男女は18歳で徴兵されます。男性は3年、女性は21~22カ月間、軍隊に入らなければなりません。
引用元:アムネスティ日本「兵役を拒否する若者たち」
女の子にも兵役があるんだ!
若い女の子が軍服に身を包み銃をぶら下げている様子を街中で見かけたとき、最初はかなり衝撃を受けました。
女性兵士も男性と同じように、基礎訓練・戦闘訓練・ゲリラ演習などこなしているそうです。
女性も戦力としてしっかり考えられているんですね。
You’re in the army now, girl: more religious women enlist – Israel News Onlinehttps://t.co/f8NrWLiB76 pic.twitter.com/3sDezfzwAu
— Israel News Online (@IsraelNewsOrg) May 30, 2017
エルサレム旧市街の名物「ごまのベーグル」
エルサレム旧市街では至るところで名物「ごまのベーグル」が売られています。
「カーク」という名前らしい。
ゴマがたっぷりまぶしてある巨大なパンです。
でか!!
味はかなり普通でした(笑)。
パンにはオリーブオイルやチーズ、ファラフェルなどと一緒に食べることが多いようです。
エルサレム旧市街に行ったらぜひ食べてみてくださいね!
エルサレム旧市街で「3宗教の聖地」をめぐる
それではいよいよ「旧市街」にて、3つの聖地を見に行きます。
旧市街はこのような城壁にぐるりと囲まれています。
旧市街のなかは、ユダヤ教徒地区、キリスト教徒地区、イスラム教徒地区、アルメニア人地区の4つの区画に分かれています。
(画像出典:「エルサレム」とはどんな場所か?地理的、歴史的に振り返る)
すごく複雑な構造だねぇ…。
- ユダヤ教徒にとっては「神から与えられた土地」、「エルサレム神殿があった場所」
- キリスト教徒にとっては上記に加え「キリストが亡くなった場所」
- イスラム教徒にとっては「預言者ムハンマドが昇天した場所」
それでは旧市街の中に入ってみましょう。
ユダヤ教徒地区
まずはユダヤ教徒地区にある「嘆きの壁」へ向かいます。
ユダヤ教徒地区に入る前に、セキュリティチェックをするゲートがあります。
そのゲートを抜けると、「嘆きの壁」があります。
ユダヤ教徒にとって最も神聖な聖地であったエルサレム神殿の外壁。
その神殿はローマ軍により破壊されてしまったが、唯一西側の壁(=嘆きの壁)だけが残った。
破壊されたことを嘆く場所ということで「嘆きの壁」という。
「嘆きの壁」は男性エリアと女性エリアに分かれ、フェンスで仕切られています。
こちらは男性のエリア。
壁に近づく場合は「キッパ」をかぶります(貸し出しあり。)
超正統派の子供たちも、もみあげを伸ばしています。
こちらは女性エリア。
ユダヤ教徒は体をゆらしながら一心に祈りを捧げています。
なぜ体をゆらしながら祈るの?
彼らは聖書や古典の文章を、体を揺らしながら暗読暗唱しているのです。
体をゆらして口を動かしつぶやくことにより、リズムができて集中力が増し、記憶力もアップするのだそうです。
ユダヤ教徒は「記憶の民」とも呼ばれているそうです。
エルサレム神殿が破壊されてから、ユダヤの民は世界中にちりぢりになってしまいました。
しかし彼らの心には、常に神殿の存在がありました。
ユダヤの長い苦難の歴史のなかで、神殿に対する深い思いが積み上げられていったのです。
デンマーク出身のユダヤ教徒との出会い
「嘆きの壁」の近くでとある男性に出会いました。
彼は家族と共にデンマークからイスラエルへ移住し、イスラエル人になりました。
移住した理由を尋ねると、デンマークではいまだユダヤ人に対する差別が根強く、生活しづらかったからだと言います。
ユダヤ人差別はまだ続いているんだね…
イスラエル国籍はユダヤ教徒であれば誰でも取得でき、二重国籍も認められています。
「今は警備員として働いているんだ」と言って、腰に付けている銃を見せてくれました。
私は聞きました。
この国で永住するつもりなの?
もちろんだよ。
イスラエルはユダヤ教徒として生きていくには最高の場所なんだ。
この国は素晴らしいよ。
思いきって質問してみました。
パレスチナのことはどう思う?
俺はパレスチナに行ったことがないから、良いとか悪いとかは答えられない。
ただ、ムスリムの人たちは俺たちのことを嫌ってる。
彼が続けて言いました。
1週間前にここで大きな火事があったの知ってる?
ユダヤを嫌うムスリムの人たちが火を付けたんだ。
話していると、彼のお友達らしき超正統派の男性が私に「初めまして」と挨拶してくれました。
私も「初めまして」と握手をしようとしたら、「ごめんね」と手を引っ込められました。
超正統派の人たちは異性に触れていけないということを思い出しました。
申し訳なかったなぁ。
デンマーク人の彼の話を聞いていると、イスラエルでユダヤ教徒としてのびのびと生活を楽しんでいるという印象を受けました。
イスラエルに移住して、生きやすくなったんだね。
ムスリム地区
続いて「ムスリム地区」に向かいます。
イスラム教徒の聖地「岩のドーム」。
岩のドームは「嘆きの壁」のすぐ向こう側、神殿の丘にあります。
金色の丸い屋根が見えるところだね。
「神殿の丘」は入場時間が限られているので注意が必要です。
【夏】 8:30~11:30、13:30~14:30
【冬】 7:30~10:30、12:30~13:30
※金・土・イスラム教の祝日、ラマダン期間中の午後は休み
私は冬季の午後に訪れたので、入場時間は12:30~13:30でした。
かなりの行列ができていました。
ここでもセキュリティチェックがあります。
「岩のドーム」までは、木造の通路を歩いていきます。
神殿の丘にそびえる金色のドームが、「岩のドーム」です。
メッカ・メディナに次ぐイスラム教第3の聖地。
イスラム教の預言者ムハンマドが昇天したとされる場所。
黄金に輝く丸屋根と青のトルコタイルの装飾とのコントラストがとても美しい。
さきほど触れたように、ユダヤの神殿はローマ帝国によって破壊され、ユダヤ人たちは世界中に散り散りになってしまいました。
その神殿の跡地に691年に建てられたのが「岩のドーム」。
そこからイスラム教の聖地になったんです。
ユダヤの人からしたら「俺たちの場所をとられた」って感じなんだね。
ドームの内部に非イスラム教徒は入ることはできません。
ドームのなかには、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれにとって特別な存在である、大きな「聖なる岩」が祀られています。
岩にはムハンマドの足跡や大天使ガブリエルの手の跡が残っているそうです。
祈りを捧げるイスラム教徒。
お弁当をもってきてランチをしていたり、友達と楽しそうにお喋りしていたりと、とても穏やかな雰囲気です。
基本的にユダヤ人は「神殿の丘」には入れないようですが、兵士に引率されて中に入っているユダヤ人をみかけました。
旧市街のなかに入ります。
石造りの建物がびっしりと並ぶ旧市街のなかには、アラブ人のスーク(市場)が点在しています。
比率でいうとアラブ人地区が50%、キリスト教地区20%、ユダヤ人とアルメニア人が15%だそう。
石畳の細い路地が迷路のように入り組んでいて、雑貨や食料品店などがひしめきあって生活感に溢れています。
ただこのイスラム教徒地区もイスラエルの管理下に置かれています。
イスラエル兵が至る所で警備を行っています。
超正統派の男性がイスラム教徒のお店で買い物しています。
こういった光景を見るとなんだかホッとしました。
キリスト教徒地区
続いてキリスト教徒地区です。
喧騒に満ちたイスラム教徒地区を抜けると、雰囲気は一気に変わります。
ここがキリスト教徒地区。
全然雰囲気が違うね。
静かで落ち着いた雰囲気。
冬だったのでクリスマスツリーもちらほら見かけるようになりました。
この変わりようには驚きました。
キリスト教徒にとってエルサレムが聖地なのは、この場所が旧約聖書の舞台であり、またイエス・キリストが磔にされた場所だからです。
最後の晩餐の部屋
ここはかの有名な「最後の晩餐」に描かれた場所とされています。
レオナルドダヴィンチの絵画で有名なやつだよね!
イエスが処刑前夜に弟子たちを集め、この部屋で最後の食事をとったといわれているのです。
かなり殺風景な雰囲気で、少しイメージと違いました。
ヴィア・ドロローサ(悲しみの道)
ヴィア・ドロローサ(悲しみの道)は、イエスが死刑を宣告されてから、十字架を背負ってゴルゴタの丘まで歩いたという聖なる道です。
この道は、イスラム教徒地区からキリスト教徒地区の「ゴルゴダの丘があった聖墳墓教会」へと1キロほど続きます。
「ヴィア・ドロローサ」の途中には、聖書の記述や伝承にしたがって14留(14ステーション)がもうけられています。
- イエス、死刑判決を受ける
- イエス、十字架を背負わされる
- イエス、十字架の重みで倒れる
- 母マリアが十字架を背負ったイエスに出会う
- キレネ人シモンがイエスに替わって十字架を背負わされる
- 女性ヴェロニカがイエスの顔を拭く
- イエス、2度目に倒れる
- イエス、悲しむ女性たちを慰める
- イエス、3度目に倒れる
- イエス、衣を脱がされる
- イエス、十字架に付けられる
- イエス、十字架上で息を引き取る
- アリマタヤのヨセフ、イエスの遺体を引き取る
- イエス、埋葬される
(※10から14までは聖墳墓教会のなかにあります)
「ヴィア・ドロローサ」を歩いてイエスの苦しみを追体験しようと、世界中から巡礼者が訪れています。
聖墳墓教会(イエスの墓)
ヴィア・ドロローサの到着地『聖墳墓教会』。
この場所でイエスは処刑・埋葬されたといわれています。
ここはイエスが磔にされた十字架が立てられていた場所です。
十字架を立てた穴があり、皆しゃがんで覗いています。
イエスが磔にされて息を引き取ったあと、十字架からおろされた遺体は石の上に寝かされ香油を塗って清められ、麻布に包まれたそうです。
イエスが寝かされた香油板です。
信徒はこの石に手や額を押しあて祈っています。
ついに「イエスの墓」を見に行きます。
ものすごい行列ができていて、かなり時間がかかります。
「イエスの墓」がある部屋はとても狭く、せいぜい3、4人くらいがギリギリくらいです。
こちらが「イエスの墓」。
装飾はほとんどなく想像以上にとてもシンプルでした。
すごいねぇ…
イエスってやっぱり本当にいたのかな。
マリア永眠協会
イエスの母マリアを祀って建てられたマリア永眠教会です。
地下聖堂に降りると、「聖母マリア」のモニュメントが安置されています。
エルサレムがユダヤ・キリスト・イスラムとどの宗教にとっても重要な場所だってことがよく分かったよ。
ユダヤ教徒やユダヤの歴史について深く知りたいときに行く場所
「ユダヤ教」は私たち日本人にとって特に馴染みがない宗教です。
エルサレム滞在中に「もっと彼らのことが知りたい」と思い訪れた2つの場所を紹介します。
ユダヤ教超正統派の街「メアシェリム」
エルサレム新市街と旧市街の間に、メアシェリムという地区があります。
ここは超正統派の人々が暮らす集住地区です。
メアシェリムに入る場合、彼らに合わせて慎み深い服装をしてください。
超正統派の人々は細かい決まりやタブーを設けているので、私たちもそのエリアでの振る舞いには気を付ける必要があります。
旧市街から徒歩でメアシェリムに向かいました。
現地に到着すると…ほんとうだ。
超正統派の人たちがいっぱい!
すごい光景だね。
洗濯物も黒一色です。
メアシェリムの街には、古く老朽化が進んだ家々が建ち並んでいます。
超正統派の多くは1日中神に祈りを捧げ、政府から補助金をもらって狭い家に住んでいます。
実は貧困層が多いのです。
超正統派の男性は、ほぼ一生をトーラー(ユダヤ教の経典)の研究に費やします。
出歩くときは「本を片手に」持ち、歩きながら一心にトーラーを読んでいる人も多いです。
皆なぜか足早で通り過ぎていき、挨拶をした人は1人もいませんでした。
聖書でしょうか。
本がぎっしりと積まれています。
道端にも本棚。
勉強熱心なんだね。
ユダヤ教徒専用の「緑バス」が走っています。
イスラエルにはユダヤ人専用のバスとアラブ人専用のバスがあります。
超正統派の結婚は、基本的にお見合い。
また彼らのコミュニティでは避妊が禁止されているため、子だくさんです。
メアシェリムの街中では、父親が子供を連れて歩く光景をよく見かけました。
イスラエルはIT先進国ですが、超正統派の多くはネットを使わないと言います。
生活は不便じゃないのかな…?
雨がポツポツ降り出しました。
すると彼らは黒い山高帽にビニールをかぶせ、雨をしのいで(?)います。
なんだか可愛いね。
彼らの生活を少し垣間見ただけでも、私にとってはびっくりするような不思議な世界した。
しかし彼らにとっては、ユダヤの経典の教えに従って暮らしていくことこそが「豊かな人生」なのでしょう。
思想や価値観の多様性を知るのはとても面白いです。
ホロコースト記念館「ヤド・ヴァシェム」
エルサレム旧市街からトラムで1本、ヘルツルの丘という場所に「ヤド・ヴァシェム」というホロコースト記念館があります。
ナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)の犠牲者を追悼するための国立記念館です。
毎年世界中から多くの観光客が訪れています。
ナチス・ドイツのホロコーストにより、およそ600万人のユダヤ人が殺されました。
館内では、
- ユダヤの民が長い歴史のなかでどのような迫害を受け続けてきたのか
- 世界にちりぢりにになってしまったユダヤ人たちは一体現地でどんな生活をしていたのか
などについて、たくさんのパネルや映像などを使って細かく説明がなされています。
ポーランドのアウシュヴィッツで見た展示と類似したものも多くありました。
記念館の最後に、ホロコーストの犠牲者となった人々の写真が展示されています。
犠牲者600万人のうちの、ほんの一部です。
600万人という数字としてではなく1人ひとりの人生が確かにあったのだと、あらためて感じさせられました。
「子ども記念館」ではロウソクの光が揺らめく真っ暗な部屋の中で、犠牲になった子どもたちの名前が一人ひとりゆっくりと読み上げられます。
とても胸が締め付けられました。
この記念館を訪れて改めて思ったのは、アウシュヴィッツでの惨劇は長い歴史の中で繰り返されてきたユダヤ人迫害のほんの一部に過ぎないということです。
現代のイスラエルは、これまでのユダヤ人迫害の悲劇のうえに成立しています。
イスラエルの国是は、
「全世界に同情されながら滅亡するよりも、全世界を敵に回して戦ってでも生き残る」
だそうです。
「他からどう思われてもいい、この地を死ぬ気で守るんだ」
そんな強い叫びが聞こえてくるようです。
宗教ってなんでしょうか。平和ってなんでしょうか。正義ってなんでしょうか。
そんなことを深く考えさせられました。
まとめ
あらゆる宗教や民族が交錯する聖地エルサレムでは本当にいろんなことを考えさせられました。
見るものすべてが刺激的で、本当に興味深かったよ。
一心に祈りを捧げる人々の姿に胸打たれましたし、その姿は純粋に「とても美しい」って思ったんです。
ユダヤ教徒・キリスト教徒・イスラム教徒たちはそれぞれの生活スタイルを重んじて互いに一定の距離を置きつつも、比較的穏やかに生活しているように見えました。
しかし長い歴史を振り返ると、聖地エルサレムをめぐる争いは数知れず…
現代にも暗い影を落としています。
正直私たち日本人にはなかなか理解が難しいことばかりです。
私も知れば知るほど、自分の無知を思い知ります。
しかし歴史や宗教をを学ぶことで国際ニュースが理解できるようになるだけでなく、世界の多様性を受け入れ尊重できる人間に一歩近付くことができます。
興味がある方はぜひ一度エルサレムを訪れてみてほしいです。
「歴史や宗教を学ぶ」って大事だね。
ボクも勉強しよう!
うん、一緒に勉強しよう!
少しでもこの記事がみなさんの参考になれば幸いです。