こんにちは、世界一周経験者のぴっぴです。
多くの日本人にとってはあまり馴染みがないであろう南米の国パラグアイ。
この国には、1930年代にはるか遠い日本から移り住んだ人々が築き上げた小さな日本がありました。
そしてその雄大な赤土の大地にポツンと建つ一軒の日本人宿。
それが『民宿小林』です。
多くの旅人がこの宿を求めてパラグアイを訪れ、あまりの居心地の良さに沈没していきます。
ゆったり流れる時間、真っ赤な夕焼け、満点の星空、数カ月ぶりに食べた生卵や納豆、そしてオーナーご夫婦のあたたかいホスピタリティー。
そこで過ごした日々は、まさに大人の夏休み。
今回は多くの旅人に愛される究極の楽園、『民宿小林』の魅力についてご紹介します。
私も世界一周中、こちらの宿で1週間お世話になりました。
あの大自然の中で過ごした豊かな日々を思い出すと心の内側がジンワリ温かく、「今すぐ帰りたい!」という気持ちになります。
パラグアイ、未知の国だな~!
その伝説の日本人宿が一体どんな場所なのかも気になる!
読者の皆さまにも遥か遠くの南米の国パラグアイをほんの少し身近に感じ、現地で私が抱いた「真の意味の豊かさってなんだっけ?」という問いについて一緒に考えてもらえると嬉しいです。
今後南米を旅する予定がある方もぜひ参考にして頂ければと思います。
- 南米パラグアイとは?
- イグアス居住地ってどんな場所?
- 『民宿小林』の魅力
- 『民宿小林』での過ごし方
2021年3月現在、外務省による感染症危険情報によるとパラグアイは「レベル3 渡航中止勧告」となっています。
現時点でのパラグアイ渡航はお控えください。
南米の国パラグアイへ
緑豊かな内陸国パラグアイ
パラグアイは、ブラジル・ボリビア・アルゼンチンに囲まれた内陸国。
国土は日本の約1.1倍で、北東部のブラジル国境付近は熱帯気候、西部や南部は過ごしやすい温帯気候になっています。
パラグアイには世界的に有名な観光地はほぼなく、観光主要国のブラジル・ボリビア・アルゼンチンに向かうときの通過点的な立ち位置の国でもあります。
ぴっぴはどこからパラグアイに入国したの?
私は当時アメリカ大陸をメキシコから南下していて、アルゼンチンから入ったよ。
日本とパラグアイの意外な繋がり
日本からすると遥か遠くの地球の裏側にあるパラグアイですが、両国のあいだには意外な繋がりがありました。
1936年から日本人のパラグアイ移住が始まり、移住者の農業活動がパラグアイの農業に大きな影響を与えたのです。
現在パラグアイには約1万人の日本人および日系人が住んでいると言われています。
その多くは移住地で農業を営んでいます。
農業に従事している日本人移住者は、パラグアイの経済活動人口のうち農業従事者の約1%に相当しますが、大豆に関しては全国生産量の2.3%(2006年)、小麦に至っては7%(2007年)を生産しています。地方に居住する移住者の活動は、蔬菜類、穀物、柑橘類などの短期作物・長期作物の生産や養鶏など、様々です。
移住者によるトマト、大豆、小麦及び卵の生産は、パラグアイの農業に大きな影響を与えましたが、日本人移住者の農業活動により大豆の輸出に道筋が付けられたことは、あまり知られていません。
引用元:在パラグアイ日本国大使館「二国間関係」(2018年)
とくに日本人移民が持ち込んだ大豆栽培はパラグアイ全土に広がり、今では世界4位の輸出量を誇る一大産業に成長しました。
日本人移住者がパラグアイの発展を支えてきたという歴史があるんだね。
知らなかった…!
移住当時は苦労も多かったようだけど、たくまくしく乗り越えていったんだね。
パラグアイの小さな日本「イグアス居住地」
パラグアイで最も日本人移住者が多い場所として有名なのが、イグアス移住地。
ここは戦後に日本人移民が築き上げた日本人村で、日系スーパーや日本食レストラン、日本語学校、病院、薬局などもあります。
日本の食材が充実していることから、日本食に飢えた旅人たちにとって心の拠り所になっています。
私も4カ月以上中南米を旅してきて、死ぬほど日本食が恋しくなっていました。
日本食を求めてパラグアイに行ったといっても過言ではありません(笑)。
旅人から絶大人気!『民宿小林』とは?
今回ご紹介する『民宿小林』は、イグアス居住地の外れにあります。
岩手出身のオーナーご夫婦が経営する日本人宿
民宿小林は、パラグアイ在住40年以上の岩手出身のご夫婦が経営する日本人宿です。
中南米で出会った多くの旅人が「民宿小林はマジで最高!」と絶賛していて…
私もパラグアイに行ったら絶対泊まろうと決めていました。
長旅で疲れた体を癒しに行ったよ。
あまりの居心地の良さについつい沈没してしまった…
そんな声が多数。
「沈没」とは旅人のあいだでよく使われる言葉で、次のような意味合いがあります。
長期間の海外個人旅行をしているバックパッカーなどが、旅行の本来の目的である観光を中断し、一つの街への滞在を目的としてしまうことを「沈没」と呼ぶ。
引用元:wikipedia「沈没」
みんなが沈没してしまう宿、気になりすぎる…!
パラグアイの首都アスンシオンからバスで「民宿小林」へ向かう
私はパラグアイの首都アスンシオンからバスで向かいました。
パラグアイとブラジルとの国境近くの街「シウダー・デル・エステ」行きのバスです。
バスにのったら運転手さんに「km273でおろして」と伝えましょう。
これは民宿小林がアスンシオンから273km離れた場所にあるという意味です。
逆方面でシウダー・デル・エステから民宿小林に向かう場合は、「km53地点でおろして」と伝えます。
面白い行先の伝え方だね!
こんな微妙な伝え方で民宿小林に辿り着けるのか不安だったので、隣の席のおじちゃんにも確認をしました。
バスの窓から外を見ると、どんどん景色が赤土の大地に変わっていき、その雄大な景観に釘付けになりました!
出発からおよそ6時間。
隣のおじちゃんが「そろそろ着くから下に降りて下車の準備をしたらいいよ」と親切に教えてくれました。
運転手さんもちゃんと私のことを覚えてくれてて、スムーズに273㎞地点で下車出来ました。
ふぅ、良かった!無事着いたー!
アスンシオンから273km地点(シウダー・デル・エステから53㎞地点)は、SOSと書かれた看板が目印です。
バスを降りて辺りの景色を見回すと…本当に何もない(笑)。
なんだかすごい所に来てしまったなぁ…
夕焼けが綺麗。
これからお世話になる民宿小林もすぐそばです。
何かここ、すでに好き。
この景色を一目見た瞬間、私はこの地に惚れました。
民宿小林のチャイムを鳴らすと、お母さんが「ようこそいらっしゃいました」と温かく迎え入れてくれました。
施設・予約
民宿小林にはいくつかの棟があり、部屋タイプはドミトリー・個室から選べてそれぞれ料金が異なります。
現在確認できる最新の料金は、個室1泊90,000グアラニー(約1,500円)、ドミトリー1泊55,000グアラニー(約920円)。
冷暖房・キッチン・水圧良好のホットシャワー付きで、掃除が行き届いた部屋は清潔そのものです。
2021年現在の部屋料金を確認できなかったので、各自お問い合わせください。
私は人に気を遣うことなくゆっくりしたかったので、個室にしました。
当時部屋の写真をほとんど撮っていなかったので、ツイートをお借りします。
お部屋はこんな感じ。ドミトリーは最大3名で、部屋に余裕があればそれぞれ別部屋に通してくれたりもします。
それから美味しかった卵かけご飯とカレー…夕焼けも毎日綺麗だったなぁ…
民宿小林に来ることができて良かったです。またいつか絶対戻ってきたい。 pic.twitter.com/0xHgOHxMX7— もち (@moti_1126) January 20, 2020
食事は別料金ですが、冷蔵庫の麦茶がフリーだったり朝食は卵やご飯が無料だったりと、いろんなサービスがあります。
本当に良くしてくださるので、ちゃんと採算がとれているのか勝手に心配になってました。
別料金で屋上露天ジャグジー風呂に入ることもできます。
私は利用してないですが、満点の星空を眺めながらお湯につかることができるのだそう。
素敵…♪
予約方法
予約は下記情報のメールアドレスかFacebookから問い合わせしてみてください。
返信に時間がかかる可能性があるので、早めの連絡がベターでしょう。
民宿小林での過ごし方
お母さんの美味しい手料理を堪能
旅人たちが民宿小林で一番楽しみにしているのが、料理上手なお母さんの手料理!
到着した日の夜、さっそくお母さんお手製のお蕎麦をいただきました。
わぁぁああ~!お蕎麦なんて何カ月ぶりだろう…
信じられないほど美味しい…!
食後には、お母さんが「これ人気なのよ」と出してくれた胡麻プリン。
むっちゃ美味しい~!!
とある日はすき焼きでした。
南米ですき焼きが食べられる日がくるなんて…!
みんなでテーブルを囲んで鍋をつつきあい、「うまい!うまい!」とお肉を頬張ります。
とある日は手巻き寿司。
私たちも少しだけお手伝いさせてもらいました。
メニューは日替わりで、みんな夕食の時間が楽しみで仕方がありません。
お父さんが肉やソーセージを炭火で焼くアサードが食べられることもあります。
そりゃぁもちろん、うまい!!
もう本当にどのお料理も美味しくて、毎日幸せでした。
一食だいたい400円くらいで、アサードやすき焼きが600円くらいとかでした。
当時私はまったくもって料理ができなかったので、ほぼ毎晩お母さんの夕食作りのお手伝いをしながら料理を教えてもらってました。
朝食と昼食は自炊
朝食と昼食は買ったものを食べるか、自炊。
私は料理の訓練をしたかったので、基本自炊でした。
米・お茶・生卵・醤油などフリーで頂けるものがたくさんあってありがたい。
これ、夢にまでみた数か月ぶりの納豆…!!!
あぁ、染みる…美味しい…
涙でそう。
これは日本人の旅人あるあるですが、海外を旅していると無性に納豆が食べたくなるんです(笑)。
民宿小林ではありがたいことに、毎日一人1個、冷蔵庫に入っている生卵を無料で食べられました。
海外で生卵が食べられるって、すごく貴重だよね!
お母さんにとろろを分けてもらって作った「月見とろろ蕎麦」。
簡単なはずの卵焼きや温泉卵を何度も失敗。
お母さんに教えてもらった煮込みうどんを作ったら、見た目がこんなにマズそうになってしまった(笑)。
卵の白味はどこにいったんや?笑
ぴっぴなりによく頑張ってたね!笑
雄大な大自然を満喫
朝起きて外へ出る。
目の前に広がる草原は、民宿小林の敷地です。
広い~!!!
民宿小林周辺には本当に何もありませんが、とにかく雄大な大自然を堪能できます。
広大な草原。
カントリーロードをついつい口ずさんでしまいます。
そして、オレンジ色に染まった夕焼けが本当に綺麗。
この大地が、空が、とにかく美しすぎて…
なんだか夢みたいです。
とある日はみんなで屋上に上がり、地平線の向こう側に沈みゆく夕日をずっと眺めました。
日が暮れると辺りは真っ暗になり、空には満点の星。
七夕の夜、お母さんが「星を見に行こう!」と誘ってくれてみんなで屋上へ。
星座に詳しいお母さんの説明を聞きながら、織姫星と彦星を探しました。
流れ星もふたつほど見ました!
感動したなぁ…
釣り
お父さんが釣りをしに釣り堀に連れて行ってくれます。
現地の写真を撮っていなかったのでツイートをお借りしますが、こんな感じの場所です。
民宿小林、楽しかったなぁ。#パラグアイ #世界一周 #釣り pic.twitter.com/ae43PDfkRC— Chimp (@musiq1986) April 17, 2018
釣りの経験はほぼなかった私も、何匹か釣れました!
大量~♪
ティラピアという淡水魚だそうです。
釣ったティラピアは、お母さんがお刺身にしてくれました。
いただきまーっす!!
鯛みたいな食感で美味しい。
宿の近くにある川でも釣りができます。
釣れた小魚をお母さんが揚げてくれました。
うむ、うまい!!
ワンコやニャンコと戯れる
民宿小林にはたくさんの犬や猫がいます。
外に出るといつも何匹かワンコたちがついてくるので、彼らと一緒に散歩できます。
人懐っこくて可愛い。
見渡す限りの草原と赤土ロード。
どこまで歩こうかな。
ワンコたちと戯れながら大自然を満喫していたら、いつのまにか日が暮れてた。
楽しかったね。そろそろお家に帰ろっか。
ニャンコたちもいっぱいです。
みんな人懐こくて可愛い。
あ…釣りで収穫した魚が狙われてる!
目を離したすきに何匹か食べられました(笑)。
動物アレルギー持ちの方はご注意ください。
農協で買い物
民宿小林からおよそ10km離れた場所に、日系スーパー「農協」があります。
お母さんを仕事場に送るついでに、要望があればお父さんが連れていってくれます。
スーパーに陳列されていたのは…
わぁぁあ!懐かしき日本のお菓子!
あ!UFOだ!
久々の日本食を目の前に、テンションが上がりまくり。
日本に帰ってきたかのような錯覚に陥りそうです。
コアラのマーチ、あんぱん、駄菓子を買っちゃいました!
せっかく農協行ったのに、甘いものばかり…
お父さんとドライブ
お父さんは農協や釣りだけでなく、本当にいろんな場所に連れ出してくれます。
見晴らしの良い一本道をドライブ~♪
日本人の方が経営しているアイスクリーム屋さん。
お父さんが突然車でズンズン草むらの中を突き進んでいきます。
周囲の木々がめっちゃ車にぶつかってるけど大丈夫!?笑
得体の知れない赤い植物を発見。
お父さんが「なんじゃこれは」と赤い実を潰し、躊躇なく爪に塗りました。
おぉ!これはマニキュアになるぞー!
その数分後、「乾いて色が落ちんくなったぞ!」と必死に爪をこすっていました。
お茶目で陽気なお父さん!笑
他にも、日本人移民の方のご自宅に訪問させていただきました。
こちらの女性のお家では、動物をたくさん飼ってらっしゃいます。
ハナグマさん。
カピバラさんもいっぱい!
ヒヨコさん可愛い。
お父さんがダチョウの卵を発見!でかー!
こちらの女性がパラグアイ移住したきっかけは、アマゾンへの憧れからだったそう。
パラグアイ生活を存分に楽しまれていて、色んな人生があるな~とつくづく思いました。
動物たちや大自然に囲まれた生活、すごく幸せそうだね。
移民資料館では日本人移民の歴史を学ぶことができます。
荒地から現在のイグアス居住地を築き上げた人々…
本当に尊敬です。
イグアス居住区のお寺にもお邪魔させてもらいました。
遠く離れた日本から運び込まれた品々が多数。
ご住職にお会いしてお話を伺いました。
イグアス居住地でたった1人のご住職だそうです。
今後のご活躍も心より応援しています!
念願のラーメン屋さんにも連れて行ってもらいました。
久々のラーメン、美味しい…♡
本当に色んな場所に連れていってもらったんだね!
民宿小林はイグアス居住地からは少し離れてますが、サービス精神旺盛なお父さんのおかげで貴重な経験がたくさんできました!
旅人同士の語らい
宿で出会った旅人同士で語らうのも、とても楽しい時間です。
共有スペースにて、トランプでワイワイ大盛り上がり。
深夜まで語り合う日もありました。
旅は新しい出会いの宝庫だね!
お父さんとお母さんの優しさに泣けた
美しい大自然や美味しい日本食、可愛い動物たちもこの宿の大きな魅力ですが…
民宿小林の最大の魅力は、お父さんお母さんのあたたかいホスピタリティー。
お2人の人柄に惹かれて多くの旅人が民宿小林の虜になっているのです。
私も2人のことが大好きすぎて、ここでの生活も居心地が良すぎて、ついつい沈没しそう…
でも時間がない。そろそろ次の国ブラジルへ向けて出発せねば…!
出発前夜
民宿小林の出発前夜、なんとお母さんが私の送別にスペシャルケーキを作ってくださったのです。
嬉しいー!!
お母さん!ありがとうございます!
本当に嬉しくて寂しかった。
出発当日の朝
ついに民宿小林出発の日を迎えてしまいました。
朝、お母さんが「おいで」と私を呼びこの言葉をくださったのです。
人一倍不器用で人より何倍も努力しなければいけないタイプの私は、この言葉にとても勇気づけられました。
そう、結局は自分次第。
現状に甘んじず常に努力することを忘れず、自分の人生を切り開いていきたいと思います。
お母さん、本当にありがとう♡
ぴっぴの背中を押してくれる素敵な言葉だね。
出発直前に撮ったお父さんとの写真。
お父さん、笑って~!笑
みんながせっかく送ってくれたのに、泣きそうになってそれぞれの顔をしっかり見て挨拶できなかったことが悔やまれます。
こういうお別れ本当に苦手…
それだけみんなのことが大好きになっていました。
バスが出発したら後ろを振り返り、民宿小林が少しずつ遠く小さくなるのを見ながら、ひとりシクシク鼻をすすり上げていました。
こうして民宿小林で過ごした豊かで幸せに満ちた私の大人の夏休みは幕を下ろしました。
お別れは寂しいね…
まとめ
モノや情報に溢れ、時代の移り変わりが激しい現代ですが…
地球の裏側パラグアイには古き良き小さな日本があり、そこでは時間がゆっくりゆっくり流れていました。
ごくごくシンプルな生活だったのに、このうえない豊かで贅沢な時間を過ごしたと思うのは、物やお金には変えられない素晴らしいものがそこに詰まっていたからなのでしょう。
小林で過ごした美しい日々は私にとって、かけがえのない一生の宝物です。
きっといつか帰りたい大切な場所になりました。
旅先での出会いや経験は、その後の人生にも彩りを与えてくれるんだね。
『民宿小林』を再訪できる日が待ちきれないね!
自由に旅できる日が戻ってきたら、皆さんもぜひ南米の国パラグアイで、そして民宿小林で、心豊かな生活を体験してみてくださいね。
お父さんとお母さん、ずっとお元気でいてください♡