こんにちは、世界一周経験者のぴっぴです。
みなさんは南米ボリビアのポトシという場所を知っていますか?
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ポトシ?
ポトシはかつてスペインによる植民地支配をうけ、その時代に金銀が発掘されて栄華を極めました。
しかし富を搾取され続けたポトシの資源はどんどん枯渇していき、残されたのは荒れ果てた大地だけ。
いまなお残る奴隷制度の名残もふくめ、その歴史は現代にも暗い影を落とす負の遺産となっているのです。
今回はそんな壮絶な歴史をもつポトシの鉱山ツアーに参加したときの話です。
現地で目の当たりにしたのは劣悪な労働環境で働く鉱夫たちの姿でした。
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鉱山ツアーの一部始終をお伝えし、私が現地で見聞きしたことや感じたことを皆さんにシェアしたいと思います。
- ボリビアってどんな国?
- ポトシの歴史
- ポトシの鉱山ツアーの一部始終
- ポトシの鉱山で働く鉱夫たちの今
ボリビアの基本情報
ボリビアについてあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。
2016年にボリビアに40日間ほど滞在していたので、少し紹介させてください!
- 首都はラパス(憲法上はスクレ)
- 国土面積は日本の約3倍
- 先住民41%,非先住民59%
- 言語はスペイン語・ケチュア語・アイマラ語を中心先住民言語36言語
- 国民の95%以上がカトリック教徒
- 主要産業は天然ガス、鉱業(亜鉛・銀・鉛・錫)、農業(大豆・砂糖・トウモロコシ)
ボリビアはペルー、チリ、アルゼンチン、パラグアイ、ブラジルの5ヶ国にかこまれた内陸国。
国土の大部分は4,000m級の山が連なるアンデス山脈とアマゾン熱帯地域がしめています。
首都ラパスは標高およそ3,600mの場所にあり、世界最高所の首都として有名。
ラパスは大きなすり鉢状になっていて、その景色は圧巻でした。
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すごい綺麗~!!
ボリビアは地域によってその特色がまったく違い、バラエティ豊富にとんだ観光資源があります。
日本人のあいだでもっとも有名なのはウユニ塩湖でしょう。
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ジャングル地帯ではアマゾンツアーに参加できます。
私はルレナバケという町が起点になっているツアーに参加して、ワニやピンクイルカなどの野生動物を目撃しました。
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ボリビアは南米のなかでもとくに先住民文化が色濃く残っている国でもあり、民族衣装をまとった人々の姿を多くみかけます。
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とくに印象的なのは女性。
腰まで届くほどの長い黒髪を三つ編みにし、山高帽をかぶり、裾の広がったロングスカートや色鮮やかなショールを身につけています。
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これらの民族衣装はスペイン統治時代の名残なんだそう。
たとえば山高帽はシルクハットが起源だとかで、先住民文化とスペイン文化が融合しているようです。
魅力たっぷりの国だね。
ボリビアにすごく興味がでてきたよ。
鉱山の町ポトシの光と影
今回とりあげるのは、標高4,090メートルのアンデス山中にあるボリビアの山岳都市、ポトシ。
ポトシはウユニ塩湖までの起点となる場所でもあります。
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スペイン植民地時代の面影が色濃く残り、コロニアル様式の美しい街並みは世界遺産に登録されています。
私は乾季の6月に訪れたのですが、めちゃくちゃ寒くて震えました。
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ポトシには街並みのほかにもうひとつの世界遺産があります。
それが『セロ・リコ銀山』。
せろ・りこ?
「セロ・リコ」はスペイン語で豊かな山という意味です。
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資源を搾取され続けたポトシの歴史
かつて『セロ・リコ』にはその名のとおり、豊富な資源がありました。
スペイン統治時代には金や銀が大量に採掘されて繁栄を極め、ポトシの人口は一時20万人を超えました。
ピーク時には中南米における3大銀山に数えられるまでになったのです。
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しかし実際に豊かになったのはスペインでした。
スペインがポトシの富を吸い上げるいっぽう、多くの先住民であるインディオやアフリカ人奴隷が鉱山で強制的に働かされました。
そんな、ひどい・・・
一説には800万人もの人の命が犠牲になったとされ、セロ・リコは「人を喰う山」として恐れられました。
しかしその資源も徐々に失われ、19世紀にはすっかり銀が枯渇。
スペイン人は植民地の資源が枯渇すると、荒廃した町だけを残し去っていったのです。
鉱山都市ポトシの栄枯盛衰
- 1533年▶インカ帝国滅亡(征服の歴史始まり)
- 1545年▶ポトシ銀山発見
- 1546年▶「鉱山の町」ポトシ設立
- 16世紀末~17世紀前半▶スペイン統治下にて金・銀の開発進み人口はピークに。インディオやアフリカ人奴隷の過酷労働。
- 19世紀初頭▶銀の枯渇や独立に伴う戦乱で荒廃が進む。
- 19世紀末▶錫(すず)が大量発掘、鉱山の活気を少し取り戻す(現在では錫もほぼ枯渇)。
- 1987年▶「ポトシ市とセロ・リコ」が世界遺産に登録
- 2014年▶危機遺産リストに登録
参考:Wikipedia
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いっとき錫(すず)が新たに発掘されて活気を少し取り戻したポトシでしたが、その錫もやがて枯渇してしまいました。
セロ・リコは『奴隷制度の象徴』として負の世界遺産に数えられているんです…
2014年には無秩序な採掘が続いていることから「危機遺産リスト」にも登録されてしまいました。
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セロ・リコには今もなお過酷な労働を続けている坑夫がいます。
ポトシの鉱山ツアーとは
私がポトシを訪れたのは、鉱夫たちが働く様子が見学できるという鉱山ツアーに参加するためでした。
実はこのツアー、かなり過酷でリタイヤする人も出るという噂。
不安はありましたが、どうしても現状を知りたくて参加を決めました。
ツアーで訪れる鉱山はそう、「人を喰う山」セロ・リコ。
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- 英語・スペイン語のガイドあり
- 所要時間は約4時間
- 作業着に着替えての参加
鉱山ツアーの内容
当日のツアー参加者は私をふくめて9名。
まずは坑道に入るための準備で、上着、長ズボン、長靴、ヘッドライトを装着します。
坑道の中は空気が悪いため口を覆うためのバンダナを持参することも必須。
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次に鉱夫御用達の店に行き、ツアー参加者同士でお金を出し合って坑夫達へのお土産を購入します。
ジュースやアルコール度数96度のお酒、そして本物のダイナマイト。
ダイナマイトは150円ほどで買えるそうです。
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だ、ダイナマイト!?
点火したら5分ほどで爆発するのだそう。
ガイドさんが冗談で私の頭をダイナマイトでポンって叩いたので「ヒィイー!」ってなりました。
次に銀の精製工場を見学しました。
こちらの工場では、銀山で採掘した石から銀を抽出するという作業が行われています。
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取れたもののほとんどはゴミだそうですが、そのなかには確かに銀がひそんでいる。
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ほんとだ、銀がキラキラしてる!
そしていよいよセロ・リコへ。
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これより入坑します。
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坑道内は視界が悪いため、撮影した写真はぼやけてしまっています。
坑道内は天井が低いところが多く、身長150㎝以下の私でも腰をかがまなくてはいけません。
なかは薄暗くて視界が悪く、ヘッドライトの明かりなしでは前へ進めないほど。
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あたり一面に凄まじい量の粉塵が舞っていて、バンダナで鼻と口を覆わないとまともに息が吸えません。
坑道内にはパイプが通り、外から酸素が送り込まれています。
どんどん奥の方へ進むに従って急激に気温が上昇していく…
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坑道内の岩のいたるところにグロテスクな物体が付着しています。
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ガイドさんによると、場所によってはアスベストなどの有害物質もあるのだそう。
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坑道内は歩くだけでかなりの体力を消耗します。
ツアーといえど参加者にもかなりの危険が伴います。
落ちたら一貫の終わりというような橋の上を歩いたり。
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不安定なはしごを登り下りしたり。
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日本だったら確実にアウトなレベルだね!
こんな危険な労働環境ですが、鉱夫たちにはなんの保証もありません。
ときおり鉱夫たちが、鉱山物を乗せたトロッコをおして物凄いスピードで駆け抜けていきます。
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こんな酸素が薄いなかで、よく走れるなぁ…
鉱山内には食べ物を持ち込まない習慣があるようで、彼らは昼食もとらずに働き続けます。
その日給はなんと、たったの3ドル程度。
え!たったの3ドル!?
彼らは基本的に3交代で8時間ずつ働いているのだそう。
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電動ドリルで坑道を掘り進める作業を見せてくれると言います。
急な傾斜の岩をやっとこさよじ登り、その作業を見ようとすると…
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凄まじい粉塵!
粉塵で視界が真っ白になって目を開けることができず、呼吸すらできません。
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こんな過酷な作業を何時間も続けるなんて考えられない…
粉塵で胸を悪くして早死にする人も多いそうです。
鉱夫達に持参していたお土産を渡しました。
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彼らはコカの葉を口に含んで頬をいっぱいに膨らませた状態で仕事をしています。
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コカの葉やアルコール度数96度の酒で、疲労・空腹・高山病を紛らわします。
そうでもしないとやってられない、そんな環境なのです。
若い鉱夫もけっこういて、彼らは13・14歳頃から坑道に入り経験を積んでいくんだそうです。
坑道内の奥には安全の神様「ティオ」がいます。
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鉱夫たちは出勤時と出社時にティオに挨拶をします。
ティオの口にタバコをくわえさせ、お酒を捧げて機嫌をとるのだそう。
2時間半ほど坑道内を歩き続けたあと、ようやく外へ出ました!
ただでさえ標高が高く酸素が薄い場所なのに、それでも「あー!息がしやすい!」と感じます。
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参加者9名全員、無事に生還できました!
たった2時間でもこんなに苦しかったのに、ご飯抜きで8時間労働をしている坑夫たちの過酷さは想像以上のものがあるでしょう。
かなり過酷な内容のツアーなので、高齢の方や体調に不安がある方には絶対におすすめできません。
現在のポトシ
たった日給3ドルのために、過酷な労働環境で鉱物を掘り続ける坑夫たち。
そこまで身を削って働くのは、彼らにとって生きるための限られた手段だからです。
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今なおポトシ銀山では多くの人々が働いていて、そこから採掘された資源がボリビア経済を支えているという事実があります。
コロンブスによる新大陸の発見以降、搾取され続けた中南米の国々には深い爪痕が残っているんです。
歴史はいまもずっと続いているんだね…
まとめ
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さまざまなことを考えさせられたポトシの鉱山ツアー。
粉塵で顔を真っ黒にした鉱夫たちと、自由気ままに旅をしている自分との間にある大きなギャップ。
「世界は理不尽だ」と感じざるを得ませんでした。
経済的に豊かでたくさんの選択ができる日本に生まれた私は、間違いなく運が良い。
でも、その運に甘んじずに精一杯生きられているだろうか。
そんなことを見つめ返すきっかけにもなりました。
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こんな悲惨な歴史はもう繰り返したくないね。
ボクももっと歴史を学んで、世界がこれからどうあるべきなのか自分なりに考えたいって思ったよ。
いろんなことを考えるきっかけになった鉱山ツアーに参加して本当によかった。
ポトシの鉱夫たちの暮らしが少しでも良くなることを願ってやみません。